暁 〜小説投稿サイト〜
ストライク・ザ・ブラッド 〜神なる名を持つ吸血鬼〜
戦王の使者篇
10.緋色の狩人
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てない。そのことが少し後ろめたいのであろうか。
 だが、雪菜は古城を見て、にっこり可憐な笑顔で言う。

「──先輩がわたしの血を吸ったとき、わたしのことを可愛いって言ったくせに、なんて全然っ、思ってませんからね!」




 赤い夕日に照らされた部屋で、藍羽浅葱が目を覚ます。
 上半身を起き上がらせ、まだ焦点が合わない瞳で周囲を見回す。
 自分がベットの上で眠っていたということはわかった。
 どこか見覚えがあるような部屋だった。焦点があってきた瞳が浅葱が眠っていたベッドの近くに誰かがいるのが見えた。
 ボロボロのところどころ赤い染みのようなものがついた制服を着て壁に背中を預けて寝ている少年。

「……彩斗?」

 まさかこの少年は、浅葱が目を覚ますまでここにずっといたというのだろうか。
 微かな記憶の中に彩斗の顔を思い出す。それは浅葱を庇うように覆いかぶさっていたときの彼の姿だった。
 彩斗は、浅葱を助けるために危険を犯してまでも“オシアナス・グレイヴ”に乗り込んできたというのだろうか。

 彩斗からは全く起きる気配が感じられない。かなり疲れ果てているのか熟睡のようだ。悪戯でもしてやろうと考えが浮かぶ。
 少年の寝顔は、いつものどこか無気力さを感じさせる人物とは同一人物に思えないほど可愛らしい寝顔で寝ている。どこか安堵の表情を浮かべてしまう。

「おーい、起きろ、彩斗」

 ベッドから立ち上がり、彩斗を起こそうと近くに行こうとするが足に力を入れた途端に身体がふらつき倒れる。

「きゃぁっ!」

 今まで寝ていたせいで身体が急に対応出来ず、倒れこんでしまった。

「いたたたた」

「あ、浅葱?」

 頭上から声が聞こえた。上を見上げるとそこには、今起きている状況が理解できておらず困惑している赤面する彩斗の顔がすぐ眼前にあった。

「お、おはよう、彩斗」

「あ、ああ。おはよう、浅葱」

 彩斗のより一層赤面する。生徒会室での古城のように鼻血でも出すんじゃないかと思うくらいに真っ赤になっていく。
 そのとき扉が開いて、中等部の制服を着た女子が二人と彩斗同様にボロボロの制服を着た男子が現れた。

「あ、浅葱ちゃん、目が醒めた!? よかった、無事で……って彩斗君となにやってるの!?」

 暁凪沙が浅葱と彩斗の状況を見て混乱して騒いでいる。

「い、いや、これは違うの!? ちょっと不慮の事故があって!?」

「そ、そうだぞ!?」

「ええー……?」

 凪沙が疑わしいげな表情で見ている。
 後方から現れた雪菜が少し不思議がるような眼で彩斗と浅葱を見ている。

「──緒河先輩は、ロリコンじゃなかったんですか?」

「はぁ!? 彩斗あんた、そう
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