暁 〜小説投稿サイト〜
ストライク・ザ・ブラッド 〜神なる名を持つ吸血鬼〜
戦王の使者篇
10.緋色の狩人
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らいだ。この場でそれほどの力を持つ古城以外の存在は彩斗しか考えられない。
 続けて双角獣(バイコーン)が吼えた。共鳴する振動が増幅し、海水を失った地にたたずむ女王ナラクヴェーラへと攻撃。
 トドメに空中へと浮かんでいた水塊を一角獣(ユニコーン)が叩き落とし、女王ナラクヴェーラが海へと沈む。

「海を持ち上げるか、彩斗。これが“神意の暁(オリスブラッド)”の眷獣」

「面白がってんじゃねぇよ、お前ぇは!」

 無邪気な青年貴族に彩斗が怒鳴り返しながら、海に消え去った女王ナラクヴェーラを確認する。

「やったか……」

 古城が呟いた。さすがに二体の眷獣を同時制御しているせいで、疲労が襲う。少しでも気を抜けば、いつ暴走してもおかしくない。

「まだよ、暁古城!」

 紗矢華の声に古城が反応する。
 彼女の剣が、降り注ぐ真紅の閃光を守る。
 “獅子の黄金(レグルス・アウルム)”に破壊されたはずの四機の小型ナラクヴェーラが、再び動きだしていた。そして、その向こう側にいた一機、双角獣(バイコーン)が最初に破壊した機体、そして彩斗が破壊した一機も海から出現する。

「自己修復……!? あんな状態からでも復活できるのか!?」

「それだけじゃないわ。破損した装甲の材質を変化させて、振動と衝撃への抵抗力を増してる。あなたの攻撃を解析して対策してるのよ」

 ナラクヴェーラは、一度受けた敵の攻撃を学習して、それにたえれるように変化する。
 しかもナラクヴェーラ同士がネットワーク繋がっていることで、たとえ一体のナラクヴェーラを行動不能にしても、他の機体は攻撃耐性を身につける。

「“獅子の黄金(レグルス・アウルム)”の攻撃に耐えたのも、すでに学習を終えてたせいか。攻撃を受けるたびに強くなる……って、そんなものどうやって倒せばいい!?」

「簡単じゃねぇか」

 気が遠くなるような思いをする古城に彩斗はこの状況で伸びをしながら軽い口調で言ったのだ。

「自己修復すら出来ないくらいにぶっ壊せばいいだけだろ」

 彩斗の言葉に古城と紗矢華は、唖然とした表情を浮かべる。

「そうですよ、先輩。大丈夫、勝てますよ」

 そう言って雪菜も華やかに笑って、薄桃色の小さなスマートフォンを取り出す。
 雪菜が、液晶画面に浮かぶぬいぐるみのような人工知能に呼びかける。

「──そうですよね、モグワイさん」

『おう。浅葱嬢ちゃんが、逆襲の段取りをきっちりすませておいてくれたからな』

「浅葱が……?」

 古城が唖然とする。

「浅葱のやつは、ナラクヴェーラの制御コマンドを解析しながら、新しいコマンドを作ってたらしい」

『ナラクヴェーラの自己修復機能を悪用して、連中を自滅させる
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