暁 〜小説投稿サイト〜
ストライク・ザ・ブラッド 〜神なる名を持つ吸血鬼〜
戦王の使者篇
10.緋色の狩人
[2/9]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


 双角獣の突進を止めたのは、炎を噴きながら飛来した円盤。それは、戦輪(チャクラム)という武器に似ていた。戦輪の正体は、爆薬を搭載したミサイルのようだ。
 その威力は、真祖の眷獣の突進を止めるほどの効果があるということは相当の威力になる。

 双角獣が睨む。“オシアナス・グレイヴ”の後部甲板。そこから巨大ななにかが出現する。
 ナラクヴェーラと同じ装甲まとっているが、桁違いにでかい。八本の脚と、三つの頭。女王アリのように膨らんだ胴体。
 威嚇するように吠えた双角獣に向かって、無数の戦輪が一斉に撃ち放たれた。

「暁古城、伏せてっ!」

「なっ──!?」

 紗矢華の剣が防御障壁を造り出す。障壁に守られた古城たちの頭上で、戦輪と双角獣の振動波が激突。周囲に凄まじい破壊をもたらしている。
 だが、被害は十三号増設人工島(サブフロート)だけでなく、爆炎で目標を見失った数個が、絃神島本体へと落下した。
 大きな爆風とともに市街地に黒煙が上がる。

「なんて……ことを……」

 その場に弱々しく膝をついた古城が、怒り任せに地面を殴りつける。
 この付近の住人は避難しているはずだ。だが被害が出たことには変わりない。無関係な人々に攻撃する。

「……巫山戯んな」

 小さく呟いた。
 動き出した女王ナラクヴェーラが、ゆっくりと増設人工島(サブフロート)に上陸してくる。
 残る四機も動き出した。
 彼らは古城たちを包囲する。

「ふゥん……これが本来のナラクヴェーラの力か」

 どこか浮かれたような男の声が聞こえてきた。爆炎の中を飄然と歩いてくるヴァトラーだ。

「やってくれるじゃないか、ガルドシュ。こんな切り札を残していたとはね。どうする、古城? やっぱりボクが代わりにやろうか?」

 白い牙をむきだして、挑発するようにヴァトラーが古城に言った。
 攻撃的な顔つきで古城をは彼を睨む。

「引っ込んでろ、ヴァトラー……! どいつもこいつも好き勝手しやがって、いい加減にこっちも頭にきてるんだよ!」

 本気の怒りが古城の身体を包み込む。

「相手が戦王領域(おまえんち)のテロリストだろうが、古代兵器だろうが関係ねえ。ここから先は、第四真祖(オレ)戦争(ケンカ)だ!」

 ヴァトラーが満足げに眺め笑った。
 なにも言わずに立ち上がった紗矢華が、剣を構えて隣に立つ。
 そして古城の右隣には、小柄な影が歩み出た。

「──いいえ、先輩。わたしたちの、です」

 銀の槍を構えた制服の少女。姫柊雪菜とその横にどこか気怠そうな表情を浮かべる制服の少年──緒河彩斗が現れた。




「ひ……姫柊?」

 古城は驚いて彼女の名を呼んだ。雪菜は無感情な冷たい瞳
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ