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知恵を手にした無限
第二話
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だろう。

「それにしても…………」

 面倒だった。次元の揺らぎ目は見受けられない。つまり、あの湖が現れた証拠も消え去った証拠も存在していないと言うことだ。だとすれば、あの湖は一体なんだというのだ。

 それに――

「あの時の光、だ」

 オーフィスを包んだ光。あれが自分の中に存在することを、オーフィスは感じていた。だが、それもほんのすこし。自分の力からすれば、片手でこと足りるほどだ。しかし――それは。

「無限の片手分、ね。残りの力はどれほどのものか」

 出来る限り、早くにその残りを集めるか、引き入れるかしなければ。敵に回れば厄介極まりない。まだそれは感じられない。だが、どうする。その力を持ったものが三勢力に引き入れられれば、もしかすると、自分ですら勝てない存在になるかもしれないのだ。

「やはり、早めに手を打つべきか……」

 オーフィスは苦々しくも振り返る。数ヶ月のロスは、やはり痛手になる。これから期限は良くて一月程度、それからが勝負だ。まだ準備期間。

 背後には闇と木々のざわめきだけが、張り付いていた。



   ◇◇◇□□□◇◇◇



 登校途中でのこと。恨めしい太陽を睨みながら、道を歩いている時のことだ。T字路を右に曲がると、そこには黒い影があった。

「お久しぶりですね。イッセー」
「あん?」

 目が合う。目の前にいる金髪のシスター。どこかで見覚えが――

「アーシア?」
「はい、あなたのアーシアですよ。イッセー」

 ニコリと笑うアーシア。それにしても、背中に担がれている剣が鬱陶しくて仕方がない。というかそのなりでよく捕まらなかったな。

「久しぶりに会えば悪魔になっていてビックリしましたけど。元気でしたか?」
「もう、元気も元気。目が覚めたら悪魔だぞ? しかも雇用契約が不平等。ありえないだろ?」
「それが悪魔ですよ。日本でいえばやくざと同じです」

 怖いな悪魔。人権もなにもない。まあ、人間じゃないけれども。生物としての権利とでも言えばいいか? どうでもいいけれど。

「ハイスクールですか?」
「まあな。行ったらそれで面倒な奴等がいるけど。面白いよ」
「そうですか、それは良かったです」

 アーシアは、一般的な教育機関に通ったことが無いらしい。それも小学校くらいにきいたことだが、このなりを見る限り、今もそうだろう。すこし羨望が含まれているような気がするのも、気のせいではないはずだ。
 
そのままの流れで自然に並び、歩く。

「あなたは、今の短い刹那の日常を過ごせば良いのです。それが、きっとあなたの役目なのですから」

突然の物言いに少し面食らう。静寂に包まれた俺たちの世界を、風が強く動かす。重荷に耐
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