第6章:女の決意・男の勘違い
第29話:超高層建築物
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しく思っていたシン君等……皆が蒼白になりながらリュカが語る自らの過去を聞き入っている。
大切な人の過去の苦痛を、再度聞かなければならなくなった事は不本意だが、これでリュカに対する接し方を改めてくれれば幸いだと思う。
ビアンカSIDE END
(天空への塔)
アリーナSIDE
この塔を登り始めて15時間……
空気の薄さも相まって、一端安全なスペースで休憩する事になった。
ただ一人元気なリュカが、私達全員分の食事(と言っても携行食)を用意してくれている。
そんなリュカを遠巻きに眺めながら、気まずい事実を聞いてしまった事に自己嫌悪中だ。
知らぬ事……いや、知らぬ事だからこそ、他人の過去に踏み込んではいけない。
ビアンカさんを始め、マリー・リューノ・リューラ……そしてウルフまでもが、リュカの過去を知らなかった私達に対して冷たい視線を浴びせ来る。
この塔を登る前に『リュカは王族として、何不自由なく我が儘いっぱい生きてきた』と言えば、家族以外の皆が同意した共通の思いだ。
だからシンも、どこかでリュカを蔑んでたのかもしれないし、私も彼を侮っていたのだろう。
過去を語るリュカの口調は何時ものように明るく優しかった。
悲壮感も無く懐かしむような感じさえした語り口……
初めて出会ったときに聞かされても、絶対に信じる事はなかっただろう。
だが今は違う。
私はリュカの身体にある、無数の傷を……あれは鞭で打たれた物だろう古傷を目の当たりにしてるから、疑う事など出来やしない。
何より、奴隷時代の事を話すリュカを見る家族の表情が、偽りで無い事を証明する。
嫌な過去を聞いてしまった事に謝罪したい気持ちがある一方、これ以上その話題に触れたくない家族等の心も理解できる。
全然関係ない話題を出して気持ちを変えたくても、疲労困憊で思考が定まらず……下手をするとドツボに嵌まりそうで何も言えない。
一晩寝て疲れを取り払ってから、どうすれば良いのか考えよう。
きっと言葉で気持ちを表すよりも、態度でそれを伝えた方が良いはずだから。
リュカが常に前向きな性格であるように、私達も過去に拘っていてはいけないのだ!
人生経験豊富なリュカが居てくれたから、私達はここまで来る事が出来たのだ……
だから彼の行動の殆どは私達の為であると信じて、以後接していけば良いのだと思う。
まさにウルフの接し方が、それその物なんだろう。
アリーナSIDE END
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