その7
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めているのだろうか。
「のォ、綱手。お前、何をそんなに悲嘆している?」
自来也の問いかけに、綱手は嘆きを口にする。
「私があの子を恐ろしいと思うのは、あの聡明さだ!あの子はあの年で、周りの人間が、何故、自分を厭い、拒絶しているのか、理由すらも把握して理解し、その上で、自分の心の動きを見つめ、負の感情を理性で制御している!それを制御しきれなくなっているという所まであの子は理解しているんだぞ!だが、あの子はまだ子供なんだ。子供だぞ!?お前は見たか!?あの子の能面のような表情のない顔に浮かぶ虚無のような瞳を!!」
自来也は三代目に引き合わされた時のナルトの顔を思い出す。
子供らしくない、一部の隙もない取り繕った綺麗な笑顔を浮かべて、冷たい瞳でずっとこちらを観察していた。
「ああ。ワシも驚いた。クシナとミナトの子だと聞いておったのにのォ…」
話しかければ、笑顔を向ける。
けれど、子供らしい笑顔ではない。
弾けるような天真爛漫さも、落ち着いた穏やかさも全く感じさせない、冷えた拒絶を思わせる硬い笑顔だった。
「正直、お前と話をしているあの子の姿にワシは驚いたぞ。あんなに嬉々として子供らしい姿を見せたのは出会ってから初めてじゃ。年相応という姿かと聞かれると、ちと首を傾げてしまうが、まあ、子供らしいと言えば言える姿じゃのォ」
「あれでか……」
それは、弟を持っていた綱手にしてみれば、子供らしさの欠片も見えない姿だった。
嬉しそうにしているのは知っていた。
けれど、その姿は、里の忍達が綱手の前でとる姿と何も変わらない。
礼儀良く弁え、常に邪魔にならないように控え、欲しいと思う時にそっと手助けを申し出る。
どこまでも子供らしくなさすぎる姿だった。
「……いっそ、暗部に入れてしまうのも手かもしれない」
「何?」
「あれ程聡明な子なのならば、きっと、里で普通の幸せを掴む事は出来ないだろう。ならば、いっそ、さっさと暗部に入れてしまった方が良いのかもしれないと言ったんだ」
「綱手!本気で言っておるのか!」
「分かっている!だがな、自来也。あの子は私にこう言ったぞ。サルトビの爺が言うから、忍者になる事にして、そのついでに試しているそうだ。要約すれば、里の人間を好きになれるか、それとも里の人間を殺してもいいと思える覚悟が自分にできるのかどうかをな!!」
子供の物らしくない主張に、ようやく自来也もナルトの異常さが呑み込めた。
更に綱手は続けていく。
「しかもな、どうやらあの子が大人しくしているのは、ただ単にあの子が生き物を殺したくないと思っているからに過ぎないようだぞ。そして自分のせいで死んだ人間をみるのが嫌だから、九尾を表に出してないだけのようだ。出そうと思えばあの状態でも十分表に出せるらしい。あの
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