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NARUTO 桃風伝小話集
その7
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矛先をあの子は里へと向けるだろう。封印の解除法を身に付ければ、九尾を自ら望んで解放しかねない。尋常ではないほどの悪意と憎悪を里に対して持っている。あの子にとっては、木の葉の里は守るべき物ではなく、殲滅すべき敵と認識されているだろう。あの子と九尾は敵を同じくする同志という訳だ」

綱手の言葉に、自来也が狼狽え始める。

「まさか、そんな……。そこまでの悪意をあの子はワシには見せなかったぞ。里に対しての嫌悪感は少し見せはしたが……」

自来也の言葉に、綱手は少し遠い目をして、先ほど聞いたナルトの記憶を思い出す。

「自来也。あの子は赤ん坊の頃の記憶もあるらしい。そしてな、泣けば窒息させられて意識を奪われていたそうだ。むろん、そんな対応ばかりだった訳でもなく、そうではない対応を取った人間に対する好感もあの子の中に存在しているようだが、動けない自分に対して繰り返されるそれは、どれほどの恐怖だったのだろうな?人としてまともな心を持ち続けられるはずもないだろう。生まれたばかりの赤ん坊だったんだぞ?根本的に、あの子にとっては人としての倫理観や善悪は存在せず、自分を害する敵か味方かの二択しかない。医者としてあの子の心を分析すれば、非常に寒々しく空恐ろしくなる。熟練の暗部と同じ非情の鉄の心をあの子は既に持ち合わせているんだ」
「なんじゃと!?」

昔馴染みの驚きの声を遠く感じながら、綱手は先ほど感じた事を述べ続けた。
医療に携わるものとして、公平な目で綱手がナルトから感じ取った事だ。

「その反面、命を奪うという事に、酷い拒否感を持っている。あれは、本来あの子が持っている気質なのだろうな。戦いを好まず、人が傷つく事を嫌がっている。本能でそれを避けようとしている、とても優しい子だ。けれど、だからこそ私はあの子が恐ろしい。あの子は、人を助ける為ではなく、殺さない為に私に医療忍術を求めたぞ。ミナトとクシナの為に、ミナトとクシナの守ったものを殺してしまうのはいけないと思い留まっているようだが、傷つけたいとは思っているらしい。それを我慢できなくなる時がいつか必ず来るとも思っているようだ。今私達が引き留めねば、あの子は必ず道を踏み外す。あいつと同じようにだ!!」

話し続けるうちに感情的になった綱手は、湯呑を卓へ叩きつけた。
そして、そのままの姿勢で首を項垂れて小さく呟いた。

「何故こんな事になってしまっているのだろうな。あんなものを子供が抱えるべきではないのに。何故子供にあんな闇を抱えさせてしまっているんだ!!闇を抱えている癖に、あの子は本当に人を殺したくないと思っているらしい。本気で、医療忍術を欲している。自分の抱える闇が人を傷つけないように。いっそ落ちてしまっていれば、あの子も楽だろうに……」

悄然として、あまりにも痛々しい綱手の様子に
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