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NARUTO 桃風伝小話集
その7
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今日訪ねてきた会いたくもない客は、とてつもない厄介事を連れてきた。
今まで持ってこられた厄介事の中でもダントツに近い。
自分の動向一つで、幾つもの未来が変わる。
医療忍者として、戦争中に人の生死と対峙していた時のようなとてつもないプレッシャーが綱手を襲ってきていた。

「ちっ」

苛立ちに思わず舌打ちが漏れる。

厄介だった。
希望があるからこそなお厄介だった。

けれど、ここで綱手が突き放してしまえば、その時は、里は闇に落ちる。
ぞっとなった時、一人、晩酌をしていた綱手の後ろから声がかけられた。

「綱手。どうじゃ、あの子は」
「自来也か。お前こそ、あれをどう思う」
「さあのォ。類い稀な才能を持って生まれた天才じゃという事は分かるがの。類い稀すぎる才能を持ちすぎている、と言ったほうが良いかもしれんのォ……」

能天気に明るい声で答えているが、やはり自来也も綱手と同じ危惧を抱いているらしい。
あれと同じようなものを、綱手と自来也は身近な存在として良く知っていた。
けれど、全く同じでもなく、そしてその心の根底に、希望をかけたくなる心根を垣間見せていた。
それに。

「あの子は、忍には向いていない。人柱力にするべきではなかった。人の生き死にに耐えられる器ではないだろう」
「それは、四代目に言う事じゃの……。何もしてやる事が出来んかったワシらが口を出すことではない。ワシらにできるのは、残された者に手を貸してやる事だけだ」
「ふん。サルトビの爺め。とんでもないものを作り上げてくれたな」

忌々しさが胸にこみ上げ、綱手は湯呑に注いだ酒を呷った。

「そんなにとんでもないかの?ワシにはただの子供に見えるがな。だいぶこまっしゃくれているけどのォ」
「自来也。お前、あの子がどんな境遇にあったか知っているか?」
「……知らん。ただ、人伝に聞いた話では、大分酷な状況にあったようだの。お前が荒れておるのはそのせいか」

綱手の隣に腰を下ろし、空になった綱手の湯呑に酒を注ぎ、自分も空の湯呑を手に取り自来也は問いかけた。
その問いに、やりきれない物を堪え切れず、綱手は胸中に溜まったものを吐き出した。

「ああ!!三代目はあの子の素性を里人に隠すべきではなかった!今からでも遅くはない。広く里に公表させた方が良いだろう。でなければ、本当に取り返しのつかない事になってしまう!自来也。知っているか?あの子はな、クシナの腹にいた時から、ずっと記憶があるらしい」
「何!?」
「そしてその頃から、あの子供は九尾の干渉を受けていたらしいぞ。だからあの子の心の距離は、人間よりも九尾に近い。そして里の人間のあの子に対する対応がそれに拍車をかけた。あれは、人柱力としては完全に不完全な存在だな。このまま成長すれば、真っ先にその力の
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