第一部 vs.まもの!
第1話 かんおけ!
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、どうって事ねえよ。あんたは?」
「サラって言います! お母さんが孤児院をやってて、そのお金を稼ぐのにこの町にきたの!」
「へえ、そっか」
隣の聖職者に目を向ける。白いローブの少年は、目に見えておろおろした。
「あ、あの、わたしはルカと申します! バ、バイレステのナスティの山奥の、え、えーっと、サンタ・ツリエル修道院から参りました! よろしくお願いします」
「そんなに緊張する事ねぇんじゃねえの?」
と、パスカ。
「ま、とにかく自己紹介はこんな所かな」
「あ、あの、おれ……」
廊下の角にひっそり佇んでいた大柄な青年が、熊のようにのっそり顔を出す。
「おれ、アッシュって言うんだ。アスロイトから来た。よろしく」
ウェルドは硬直し息をのむ。いつからいたんだ。気付かなかった。全然気づかなかった。っていうか馬車にいたか? こいつ。
「……お前、でっかいクセに影薄いなー!」
「えっ? ご、ごめん」
「いや、謝る事じゃねえけどよ」
イヴが肩を竦め、階段を二階に上がっていく。それを機に、三々五々、冒険者たちは散り始めた。
シャルンが踵を返し、宿舎の戸を開ける。
「何だ? 出かけるのか?」
「うん、私――ちょっとね」
戸が閉まる。
エントランスにはウェルドと、ルカと名乗る聖職者が残された。
「ウェルドさん! あの――」
「何だ?」
ルカはもじもじし、答えない。
「何だよ?」
「あの、山道でアーサーさんに仰ってた事ですが……この町に来た目的って……」
ウェルドが眉をしかめると、ルカは顔を赤くして、くるりと背中を見せた。
「な、何でもありません!」
カルス・バスティード、遺跡と魔物と棺桶の町。
新人冒険者の初日はこうして終わる。
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