第百六十七話 同盟混乱
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園より解放してきた拉致農奴に関して故郷へ帰還させる事、それに伴う形で捕虜の交換も行う事を通告したそうです」
秘書官の話に、最高評議会の各委員長から“そんな話は聞いていないぞ”“議長、知っていたのですか?”などの声が上がるが、アンダーソン自身始めて聞く事であり、驚き狼狽するしかない。
「いや、私も一切その様な話を聞いたことが無い」
素なような最中、違う秘書官が飛び込んできた。
「議長、帝国側は“解放する農奴は200万人、交換する捕虜は100万人の合計300万人”と発表しました」
“300万人”という声が誰ともなしに上がる。
バーナード副議長が秘書官に“詳しい情報を集めるように”と命じると、議会は捕虜交換に関する、事実確認の為、各々が意見を述べはじめ、騒がしくなっていったが、再度現れた別の秘書官の報告に議会内は凍り付いた。
「議長、大変です。“前回のヴァンフリート星域会戦に於いて帝国軍が勝利したのはスパイ活動の成果だと向こう側は邪推したとの事だ。そしてスパイ組織の中心人物として、帝国からの亡命者たるローゼンリッター連隊に疑いをかけ、彼の連隊の関係者は元より、帝国からの亡命者を収監及び取り調べを行っている”と帝国側から発表されました。その為、現在同盟各地から確認や抗議の電話やメールなどが殺到しはじめています!」
秘書官の言葉に、愕然とする議会の出席者。
「何故その事が……」
「馬鹿な、軍の防諜はどうなっているんだ!」
「だから言ったんだ、一蓮托生で取り調べるなと」
「あの時は仕方なかった、君だって賛成したじゃないか」
等々、責任の擦りあいが始まった。
近年ではまれに見る良識派として、次期議長は確実と言われたバーナード副議長が皆を落ち着かせる。
「落ち着きたまえ、今は言いあっている場合では無いだろう、第1にするのは、事実関係の確認と、フェザーンの高等弁務官事務所への照会と、我々の意志の統一だ」
発表自体全て事実であったが為に、ネット拡散により、バーナード副議長の努力も無駄になり、同盟が捕虜問題で混乱状態に陥る事になった。
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