第百六十七話 同盟混乱
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には両親と幼い姉妹が……みんなを置いてはいけないわ」
ヨイヨイと泣き始めるアンナにベルモントは困ってしまう。
「アンナ、どうすれば良いんだ?」
「貴方が、フェザーンから帰国しなければ……」
「そうか、そうだな、それしか無いか、しかしどうすれば良いのだ?」
思案するベルモントにアンナが答える。
「捕虜交換の話をしなければ、貴方の功績が無いのだから、このままフェザーンですごせるわ」
「おお、そうだな、そうしよう」
実に馬鹿な状態で女に引っかかったベルモントである。
この後、ベルモント高等弁務官とアンナ・チャップマン秘書が情報を秘匿し他の職員には帝国からの捕虜交換の情報を伝えなかったために、同盟最高評議会は全く事実を知らずにおり、同盟政府が知ったのはレムシャイド伯の会見によるニュースを立体TVで知ったほどであり、軍はスコット提督からの緊急電という体たらくであった。
しかし、他の職員が不審に思わなかったかと言えば、同盟側の弁務官事務所職員にフェザーンの紐付きが多数いた為である。無論アンナもその一人であった。ルビンスキーは彼女と首席補佐官が使い情報の伝達を止めたのである。
ルビンスキーは情報の断絶にほくそ笑んだのであるが、実際の所アンナは帝国側が送り込んだ人物で、ルビンスキーは見事にだまされた訳である。帝国は既に帝国暦478年よりフェザーンや同盟へ人材の潜入や入れ替わりを行っており、アンナもその一人で有った。それを知らずにルビンスキー側がハニートラップとして同盟側に送り込んだのである。つまり中を空ければレムシャイド伯まで味方に騙されるという逆ドッキリ状態で有った。
こうして、ルビンスキーがほくそ笑んでいる中で実際に高笑いしていたのは、テレーゼだったのである。
「さて、誰が勝ち残るかしら、帝国か、同盟か、地球か……ルビンスキーか……いいえそれは私よ!」
こう独り言を呟いたとかなんとか。
宇宙暦794年帝国暦485年7月17日 午前10時10分
■自由惑星同盟首都星ハイネセン 最高評議会
最高評議会では、第6次イゼルローン要塞攻略戦に関する議題が上がっていた。
喧々諤々の話し合いの最中、秘書官が慌てて駆け込んできた。
「議長、大変な事が起こっています」
“会議中だぞ”の声にもかかわらず議長の下へ駆け寄る秘書官。
普段はそんなに慌てない秘書官の慌て振りに不審を抱いたアンダーソン議長が内容を聞く。
「どうしたのかね?」
「議長、たった今、フェザーンより同盟政府が捕虜交換を拒否したという表明が出されました!」
言っている意味が今ひとつ判らない議長が質問する。
「捕虜交換とは何時の話だね?」
「たった今です。帝国側が7月4日宛でフェザーンのベルモント高等弁務官に“貴族荘
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