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銀河英雄伝説〜ラインハルトに負けません
第百六十七話 同盟混乱
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れとも、俺か……



宇宙暦794年帝国暦485年7月4日

■フェザーン自治領 自由惑星同盟高等弁務官事務所

「うむ、此は……」
帝国から来た捕虜交換の書簡を見たベルモント弁務官は息を呑んだ。自分の判断ではどうにも出来ないほどの用件であった上に、能力が全く足りていなかったからである。

何故なら高等弁務官は表向きは対フェザーン外交の、裏の顔は対帝国スパイ網の責任者であり。同盟からすれば優秀な人物こそが望まれるポジションだが、昨今はその質も低下し。政権交代時の論功行賞として用いられるしまつ、名士としての箔付けのために送り込まれることが多くなっている状態で有り、ベルモント補佐官もその例に沿ったボンクラであった。

「弁務官、如何しました?」
直ぐさま、気が効く女性秘書が声をかける。
「うむ、実は」

美人で才媛であり女王様な秘書に思わず愚痴をこぼす。
「アンナ、帝国から捕虜交換の書簡が来たのだがどうしたら良いかな?」
普段からアンナを含めて多数の女性と関係のあるベルモントは既にまともな判断も出来ない様な依存振りとなっていた。

ベルモントから書簡を受け取ると早速読み始めるアンナ、その姿は弁務官の机に斜め座りして足を組んだ状態である。読み終わるとアンナはベルモントに向き直り話しはじめる。

「ふーん、なるほど捕虜交換ね、此を行えば支持率UPは間違い無いわね」
眼鏡を指で上げながらアンナは答える。
「だな、そうなれば、私の功績として栄誉が貰えるな」

喜ぶベルモントを見ながら、アンナは普段では見せない悲しそうな顔をする。
「アンナ、どうしたんだい?」
アンナの変化に驚いたベルモントが聞く。

アンナは憂いを持った表情で溜息を吐きながら呟く。
「貴方が、功績を立てたなら、貴方は中央へと召還されるわ、そうなれば私達離ればなれね」

ベルモントはアンナの言葉に否定の言葉を吐く。
「そんな事はないぞ、例えハイネセンに戻るとしても、お前を連れて行く」
アンナの気弱そうな姿に普段と違う興奮を覚えたベルモントは必死に大丈夫だと言う。

「いえ、駄目なのよ、私はフェザーン人ですから、就労ビザの関係でそう簡単には貴方の元へはいけないわ、それに貴方にはハイネセンに奥様とお子様が……」
ベルモントはアンナの言葉に一瞬目が泳ぐが、何とか誤魔化そうとする。

「大丈夫だ、妻とは別れるし、就労ビザぐらい幾らでも、それが駄目なら旅行ビザで入国してそのまま亡命すれば良いだけだよ」

ウルウルとした目をしてアンナは問いかける。
「本当に奥様と別れてくださるの?」

「ああ、直ぐにでも弁護士に離婚調停を頼むさ」
ベルモントは電話を早速しようとするが、それをアンナが止める。
「駄目、やっはり駄目だわ、私
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