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【SAO】デスゲーム化したと思ったらTSバグに巻き込まれた件
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拘束が緩み、瞬間、クラインの目に光が戻る。
「っおりゃあああっ!!」
「ぎゃっ!?」
無理やり立ち上がり、バランスを崩して無様にしりもちをついた拘束していた男の鳩尾を蹴り上げる。 圏内だからダメージは無いはずだが、思い切り蹴り上げられた精神的ダメージで男は怯えたように後ずさった。
「ひ、ひぃい」
「やりやがったなっ!」
「そりゃ、こっちのセリフだろう、が!」
クラインが太った男の顔面を殴りつけ、その男も慌てて逃げ出した。 右腕の拘束が無くなる。
「あ! てめぇ逃げんなっ!! ちっ、おい俺がこいつ抑えてるからお前らなんとかしろっ!」
「えっ? ぼ、僕たちが!?」
「ふ、ふざけんな、お前が言いだしたんだからお前がなんとかしろよ!」
後ろにいた男がキリトを抱えたまま後ろに後ずさりし、足を抑えていた二人の男に命令したが、上手くいかず喧嘩が始まる。 所詮即席で集まった集団だ。 それも、クリアを諦めた精神薄弱なプレイヤーの集まり。 ちょっとした切っ掛けで簡単に瓦解する。
両足の拘束が無くなる。
全身の力を抜いていたため、後ろの男はキリトの体重を支え切れなくなり悪態を付きながらキリトを抱え直そうとした。
「くそっ、ちょっとは自分で立――!?」
「ふっ――」
この瞬間を待っていた。
男の腕が離れた一瞬で身体を沈め、スルリと拘束を抜け出し、両腕を地面につけて足で男を蹴り飛ばす。
「ぐわっ!?」
足を抑えていた二人の男のうち一人は逃げ出し、もう一人はクラインと乱闘中。 だが、明らかに戦意は殆ど残っていないようで決着は時間の問題だろう。
「クラインっ!」
助けに入ろうと呼びかけたが、クラインの鋭い視線で踏みとどまる。
「キリト、ここは俺が何とかする! お前は逃げろっ!」
「でも……!」
「お前が此処にいたら敵が新しく増えかね無ぇ! 行け!」
「――っ、わか、った」
一瞬悩んだキリトだったが、ゲームだから痛みは無いことと、圏内である以上ダメージは発生しないこと、そして、自分さえ居なければこの男達がクラインと戦う理由が無くなることを考え、クラインの言葉に従うことにした。
男として情けないが、これが最良の選択だろう。
「っ、逃がさねぇ――!」
「おっと、お前の相手は俺だぜっ!」
キリトに蹴り飛ばされた男が慌ててキリトを追いかけようとしたが、クラインが間に立ちはだかる。
「クライン――この借りは必ず返すっ!」
「おう! そんなら今度会った時デートでもしてくれ!」
「了解!」
その言葉を最後に全力で走り、その場を後にする。 後方でクラインの「マジで!?」という声が聞こえた。
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