第四話
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ナの信頼を裏切るような気がした。そもそも今の自分の身で信頼など問えるのかと思ってしまうが、それでも嫌だった。
口に出すつもりはないが、何よりもニーナの信念を踏みにじるような気がした。それをネタに不正な行為で金を受け取ったらニーナの武芸を貶める気がしたのが一番の理由だ。
買おうか悩んだとき、レイフォンの脳裏に浮かんだニーナの悲しそうな顔。何故か泣きそうなその視線を受けたくはないと思ってしまった。
「……もしもの話なのに、か」
クラリーベルが小さく呟く。
気づけばクラリーベルと距離が空いていた。レイフォンは少し早歩きをする。
「クラリーベル、ちょっと早いよ」
「たまにはクララって呼んでくれもいいんですよ。親しみともう一つ込めて」
親しみはわかるがもう一つとは何のことかレイフォンは分からない。そもそもその名前を呼んで何が込められるのだろう。
少し考える。
名前が気になるのなら、とレイフォンは早歩きのクラリーベルの背中を見て口を開く。
「どうしたのクラりん」
「からかってるんですか?」
ミィフィ命名の名前で呼んでみたが不評のようだ。親しみが欲しかったのではないのだろうか。
なので取り敢えず続けることにした。
「僕は結構悪くないと思ったけどねクーちゃん」
「センスないですよ」
「そう? アイシャだってちゃん付だったし呼びやすいと思うけどねクラッち」
「……はぁ。加速のパスが繋がるって期待した私が馬鹿でした。不完全燃焼です」
「そんな怒らないでもいいじゃないかクーぽん」
「安い女じゃありません」
「クリりん」
「強くなりたいですよ、ほんと。あとあなたって意外に図太いですよね何気に」
関係者用の控え室にニーナはいた。椅子に座り、組んだ手の上に頭を乗せ目を閉じていた。
部屋の中には小隊のメンバーがいる。ニーナ以外は思い思いに好きなことをしており緊張感というものは見られない。
緊張感で実力が出せないのは危惧するべきことだが、それとは違う。流れる弛緩した空気は身が入っていないそれだ。
今日に備え何度も訓練を行った。けれど満足する成果とは程遠い現状がニーナの目の前にはある。
個々人の実力への不満はそこまであるわけではない。及第点と言えないがニーナが求める最低限のラインはクリアしている。
駄目なのは意思だ。やる気が見えない。
シャーニッドは訓練時は普通だが偶にサボる。自然体といえば良いが身を入れず、問題の解決への積極的姿勢がない。フェリは必要最低限のことしかやらない。真面目にやるということを放棄し、上を目指すことをせず狙ったように文句の言い辛いラインぎりぎりの働きをする。アイクはそもそも小隊とは全く別目的がありそちらを
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