暁 〜小説投稿サイト〜
リリカルなのは〜優しき狂王〜
2ndA‘s編
第二話〜予想外の始まり〜
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を抑えた頃、ライはヒソヒソと隠れるように行動していた。

「ハァ…………うっかりしてた」

 どこか呆れたようにため息を溢し、ライはこれからどうするのかを考える。
 ライの降り立った海鳴の季節は現在冬らしく、そのため息は白い靄となって本人の頬を撫でる。それで寒さをより強く感じたのか、ライは着ているアッシュフォード学園の制服の襟をいつもよりもきつく締める。
 そう、“学生服”の襟を。

「……この世界の日本の警察は優秀なんだな。治安の良さもあるのかもしれないけど」

 ライがコソコソと行動している理由は彼の格好にある。彼がこの世界に来るとき、自分の服装を特に深く考えることをせずに着慣れた学生服を設定した。その時はまさか海鳴に限らずキチンとした社会が存在する世界と想定していなかった為、特に問題が起きるはずもないと考えていた。しかし、実際に来てみれば現代日本と言う立派な社会が築かれた世界であり、一般の学生が平日の昼間から堂々と歩いていれば警察に職務質問をされるぐらいには治安は良い場所でもあった。

(目的を果たす前にやることが増えたな……)

 ぼんやりとそんなことを考えながら、ライは目的の場所を探す。そしてその途中いきなり身体が空腹を訴える音を鳴らし、本日何度目かのため息を漏らした。



海鳴市・都市部の外れ


 住宅街等の居住地とビル等が密集する都市部の間、その二つがちょうど混じり合うような場所。そんな場所のある建物からライは出てくる。その建物は、それ自体は割と目に付くような場所にあるが、出入り口は注意して探さないと見つけにくいように設計されていた。
 建物を出てすぐ、首に下がっている相棒からの念話が頭に響いてくる。

(……マスター)

(……)

(……大変申し上げにくいのですが)

(言わないで……あこぎで後ろ暗いことをしてる自覚はあるから)

(お労しや)

 割とノリノリな反応をする蒼月であった。
 ライがまず行ったのは活動資金の調達である。蒼月の――――と言うよりは管理局が支給するデバイスに標準的に装備され、格納されているサバイバルキット。その中には管理外世界でも資金の確保ができるようにと、金のインゴットが含まれていた。
 この世界で蒼月を再現した際、デバイスのパーソナルデータをいじることはなかった為にそのサバイバルキットも蒼月の格納領域に存在していた。
 無一文であったライにとって活動資金として、その存在は大きかったのだが如何せん世界との相性が悪かった。
 金を換金しようにも、本人の身分証がない為換金できなかったのだ。
 そこでライは元の世界での黒の騎士団での活動の事を思い出し、非合法の賭博場を見つけ出す。そして、金のインゴットを担保に賭けチェスや将棋、トランプなど
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