名探偵ヤン艦長の推理 人形師のお宝を探せ その三
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っとも、緑髪のネットワークがそれとなく原作知識を示唆したからなのだが。
「これじゃないか?
アルレスハイム星域の会戦の後で帝国は大規模な麻薬取締捜査をやっている。
その後の帝国内戦で中断したみたいだが」
モニター向こうのラップ主計長から送られたデータにヤンも目を通す。
たしかに、麻薬取締の大規模捜査とそれに伴う逃亡者阻止要請をフェザーンに出していた。
「今回の海賊の取り締まりも、元は帝国内戦か……
なんとなく見えてきた。
帝国の麻薬取締で捕まる連中が帝国内戦のどさくさにまぎれて同盟に逃げ込んだ。
で、そいつらが同じ商売をここでもしようとしたと」
ラップは気づかないのか、気づかないふりをしているのか、多分後者だろう。
彼ぐらいになると、その商売の元であるサイオキシン麻薬を帝国から逃れた連中がどこから入手したのか考えない訳が無い。
で、現状の捜査といやでも考えをリンクさせる。
「それで、今をときめく帝国のポイントゲッター様がわざわざ少数で危険を冒してこっちにやってくる理由はなんだと思う?」
ヤンの問いかけに、ラップは肩をすくめてあっさりと答えを言ってのける。
「簡単だろう。
危険を冒すだけのリターンががここにあるという事だ。
サイオキシン麻薬じゃなくて、それで利益を上げていた帝国貴族の名簿。
彼にとっては、喉から手が出るほど欲しいだろうよ」
ラップの答えにヤンは納得せざるを得ない。
おそらく、帝都に戻れば権力闘争の果てに彼は粛清される。
それを避ける為には手札が必要だったのだが、サイオキシン麻薬で利益をあげていた帝国貴族の名簿を入手できるならば、リヒテンラーデ公とブラウンシュヴァイク公双方に話ができるからだ。
そこまで考えて、ヤンはある疑問に気づく。
(という事は、ミューゼル提督はサイオキシン麻薬製造プラントがフェザーン企業にある事を知らないのか!?)
彼にとって販売網の黒幕が狙いであって、供給源は同盟領にあるからと深く考えなかったのだろう。
これが裏でフェザーンが糸を引いていましたとばれた場合、最悪なまでになっている帝国とフェザーンの関係は完全に破綻する。
フェザーンは多額の財務支援というアメと、フェザーン本星に配備された攻撃衛星と、二個艦隊と大慌てでかき集めた一個艦隊というムチでなんとか帝国の怒りをいなしている状況だ。
現在は帝国の侵攻を弾く事ができるだろう。
では来年は?
再来年は?
イゼルローンに要塞が置かれた事によって、帝国領内の航路の安全性は急速に回復しだしている。
フェザーンが抱えている対帝国債務を帳消しにする事を狙っての侵攻を考えない訳が無い。
「わう!」
「駄目じゃないか。アールグ
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