第27話「麻帆良祭〜贈る言葉〜A」
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だな。
頭を振った。
タケルが伝えたかったことは既に全て伝え終わっていた。今のネギは人の言葉を聞いている様子が無いため、本当に伝わっているかどうかはタケルにはわからないし、その場にいたほかの誰でも判別はできない。
だだ。
――きっと今の言葉はネギの心のどこかに引っかかってくれている。
なぜか、タケルは自然とそう思っていた。ニヤケそうになった顔を誤魔化すためか、そのままチラリと目の前に立つ少女を見やる。
「……」
刹那の心配そうな顔に、タケルはやはり少しだけ申し訳ない気分になる。
――まだガンツスーツは元気だが、これ以上彼女達に心配かけるのも少し悪いな。
純粋な肉弾戦ではネギに勝てないことがコレで明らかになったわけだが、元々タケルは自分に自信をもっていたことがないので悔しがることではない。
……10歳の少年に殴られまくるという事実は少しだけ悔しがるべきなのかもしれないが。
それでもいつかはこうなることは彼なりに理解していた。よって、動揺することもなく、落ち着いたままにため息を吐きだした。
「あと15秒ほどで終わる」
久しぶりの悪戯っぽい笑みがタケルに浮かび、それは確かに刹那の目にもまだまだ余裕が感じられるように写った。
「……」
刹那が渋々と引き下がる。
それを見届け、「よし」と軽く呟き、ネギに向かい合う。その際、例の兵器をホルダーから取り出す。
奇妙なハンドサイズの円筒系の玩具―見ようによっては銃にも見えなくもないが、明らかに玩具と表現するほうが正しい形状をしている―を音もなく構え、ネギが警戒する瞬間すら与えないほど無造作にその引き金を引いた。
かちりと、まるで玩具のような音がして、ギョーンと間の抜けた音がした。
「……?」
何も起きない。
誰もが首をかしげ、ネギもそのままタケルに突っ込もうとした時、いや正確には突っ込んだ時だった。
ネギが至近距離にまで距離を潰し、その腕を振るう。
まるで反応しようとしないタケルに、刹那が「タケル先生!?」と声をあげ、そして――
「っ!?」
――ネギの頭部が、まるで何者かに殴られたかのように弾かれた。
あまりのことに理解がおいつかず、少年先生がたたらを踏む。
「! ……??」
訳がわからず、首を傾げて、さらに――
「っぶっ!!」
――弾かれた。
背中から地面に倒れる。
立ち上がろうして、また――
「ぐっ!?」
――弾かれる。
弾かれて、さらには弾かれ弾かれ……弾かれて。
ネギが立たなくなったとき、それは遂に止まった。
「……よし、丁度15秒」
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