As 08 「届かぬ想い、折れる刃」
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とも思わないだろう。だが、慣れていない俺からすると、この速度で何かに衝突したと思うと背筋が寒くなる。
「くっ……」
「ち……」
疾風のような一撃は間一髪のところで防がれてしまった。テスタロッサとの戦闘経験がなかったならば、直撃していたかもしれない。
とはいえ、シグナムは俺の速度変化にまだ対応はできていない。それにこちらは一撃でももらえば終わってしまう。守ったら負ける、攻め続けなければ。
シグナムの横を通り抜けた俺は、彼女の視線の動きを即座に観察。彼女の視界に捉えられる前に、再度高速移動魔法を発動させて死角へと移動する。
不慣れな速度と強引な方向転換によって痛みを再び感じ始めたが、この戦闘に負けた場合、俺は最悪死んでしまう。勝てるのであれば、骨のひとつやふたつ折れても構いはしない。
「は……あぁぁぁッ!」
高速移動魔法を連続で使用し様々な方向から斬撃を打ち込んで行くが、剣と鞘を巧みに使われ紙一重のところで防がれてしまう。
一撃ごとに防御のタイミングから危うさがなくなっていっているのが分かる。シグナムは着実にこちらの速度に慣れ始めているということだ。このまま続ければ、時期に完全に見切られカウンターをもらってしまうだろう。
「だったら……!」
「――甘い!」
死角から魔力刃を放ったものの、即座に打ち落とされてしまった。おそらく衝撃波を撃ち出したのだろう。
接近戦重視のスタイルだが、それなりの距離にもきちんと対応しているから性質が悪い。純粋な接近戦を行えば、すぐに防御を強いられる展開になってしまうことだろう。
かといって距離を取って戦っても、今のように衝撃波や連結刃で攻撃される。対応できなくはないが、決め手がかけるのも事実だ。決め手になりそうな砲撃魔法は、先ほど打ち負かされているために使うことができないのだから。
俺の思考を読み取ったのか、ファラが少し焦った声で念話を送ってきた。
〔マスター、このままじゃジリ貧だよ〕
〔分かってる〕
〔どうするの?〕
〔それは……今必死に考えてるところだ!〕
上昇・下降を繰り返しながらシグナムと何度も剣を交える。どうにか随時接近戦にならないように出来ているが、それが可能な時間は残りわずかのはずだ。彼女は完全にこちらの速度に慣れつつある。
〔決め手、決め手……今の状態でも、距離を取って撃ち合ったらマスターが撃ち負ける可能性が大だし。かといってあの人相手に接近戦で大技が当たる気もしない〕
〔現実から目を背けるつもりはないけど、こんなときにわざわざ言わなくてもいいだろ〕
〔言いたくなるような状況なんだから仕方な……そうだ!〕
突然発せられた何かを閃いた大声に驚く――暇は俺にはない。シグナムに競り合いに持ち込まれていたからだ。俺と
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