As 08 「届かぬ想い、折れる刃」
[5/12]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
には何度か一緒に訓練を行った際に高速移動魔法のレクチャーをしてもらった。普段は器用貧乏だと言わざるを得ない魔力資質だが、彼女の魔法をすぐに使えるようになれたことには感謝するべきだろう。
高町は感覚で魔法を組めるような発言をしていたが、俺には無理だ。でも時間さえかければ、各魔法の長所を組み合わせた魔法を作り出すことだってできるだろう。努力を惜しまなければ、瞬間的にテスタロッサ並みの高速移動を可能にだってできるかもしれない。
とはいえ、この戦闘の中でそれを行うのは不可能。今はテスタロッサから教えてもらった高速移動魔法を回避の頼りにするしかない。
「く……っ……」
身体の至るところにかすり傷を負ったものの、どうにか避けきることができた。即時にファラを砲撃形態に変形させる。
この場においては必要なのは威力よりも速度。だが威力を殺しすぎれば、シグナムを止めることは不可能だ。発射速度を優先しながらも威力を殺さない方法……
〔……ファラ〕
〔分かってるから、マスターは砲撃に集中!〕
ファラの声には怒りがあった。
シグナム相手に無駄口を叩く暇はないということなのか、それとも俺の考えが分からないとでも思っているのかと言いたいのかのは分からない。ただひとつ、これだけははっきりしている。彼女は頼りになる相棒だ。
「今度はこっちの番だ」
デバイスの先端をシグナムに向け、トリガーに指を掛ける。
先端部に夜空よりも濃い闇色の光が収束していき、それと同時進行で周囲に同色の魔力弾が複数生成される。
シグナムが次の行動を取ろうとする気配を読み取った俺はトリガーを引いた。通常よりも速射仕様にした砲撃魔法《ノワールブラスター》と魔力弾は迷うことなく彼女へと向かっていく。少しだけ彼女の顔に焦りが見えた気がした。
「ちっ……」
シグナムは左手に持っていた鞘を大きく振り、その勢いを利用して素早く身体を捻った。強引なやり方ではあるが、一点集中の攻撃だったために彼女の防護服を掠めただけだった。
消費した魔力の量を考えると不愉快な結果でしかないが、魔力を節約して勝てる相手ではない。そもそも、こんなことを考えている暇もないのが現状だ。シグナムはすでに刀身を戻し始めているのだから。
今の攻撃でシグナムも先ほどよりも本気で来るはずだ。近接戦に持ち込まれたら厳しい。今の距離を保って戦わなければ……。
「行くぞッ!」
「くっ……!」
接近してくるシグナムから、俺は一定の距離を取るように移動しつつ攻撃する。
漆黒の閃光が雨のように彼女へと襲い掛かるが、かすりはするものの直撃しない。直撃していない以上、最低限の回避で接近してくるあちらのほうがスピードが速く、徐々に距離が縮まっていく。だがこちらも何もしていないわけ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ