As 08 「届かぬ想い、折れる刃」
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彼女は、交わっている刃を支点にして空中を舞うように回転する。
〔マスター、いっそのこと大技使っちゃおう!〕
〔どこに行き着いたらそういう発想になるんだ。あんなこと言ってたのに負けろって言いたいのか?〕
〔勝つために言ってるんだよ。マスターだってこのままの状況が続いたら、魔力量や技術で劣ってる自分が負けるって分かってるでしょ〕
俺はファラに即座に答えられなかった。
シグナムとの戦闘に意識の大半を持っていかれているのも理由だが、何よりも図星だったからだ。
〔あっちも覚悟決めてるみたいだけど、多分できるだけマスターを傷つけたくないって思ってるはずだよ。だから次の一撃で勝負をつけようって流れに持って行けば、マスターにも大技を決めるチャンスはあるはず。反応速度ならマスターだって負けてないんだからさ〕
必死に戦っている中でペラペラしゃべるファラに負の感情を抱かなくもなかったが、彼女の方法は考えられる中で最も勝率が高いのも事実だ。
魔力弾や砲撃、高速移動の多用で俺の魔力は底を尽きかけている。勝負を賭けるならば、今をおいて他にない。
高速移動魔法を利用して、強引に競り合いを終わらせる。地面に着地した俺は、漆黒の太刀の先を一旦地面へ下ろした。
「剣を引く……つもりではないようだな」
「ああ。シグナム、次で決着をつけないか?」
「何?」
「俺とお前が勝負を始めてもうそれなりに経つ。邪魔が入るのも時間の問題だ。今回を逃せば、今後お前が俺を排除できる可能性は低くなるぞ」
「……いいだろう。正面からのぶつかり合いは嫌いではない。だが覚悟しろ……本気で行くぞ」
シグナムの剣から薬莢が排出され、刀身を炎が包む。
あれはバルディッシュを一刀両断した一撃だったはず。防御力がないに等しい俺には、威力は考えるまでもなく必殺。
シグナムとは、事件前に何度か手合わせをしている。これまでの技では見切られる可能性が高い。どうする……どうすればいい。
刹那の時間の中、ふと思いついたものがあった。あれこれ考えている時間もないため、俺は思いついたそれにかけることにした。太刀を鞘に納めて半身で構える。
「紫電――」
「ッ……!」
超加速で突っ込むのと同時に、無声の気合を発しながら抜刀を始める。露になっていく漆黒の刃には魔力が集まっており、それは切っ先が鞘から抜けた瞬間に焔へと姿を変えた。
「――……一閃!」
炎を纏った二振りの刃が交わる。それと同時に、一瞬であるが膨大な光が生まれ視界を奪った。その間も手には凄まじい衝撃が伝わってくる。
だがそれも刹那の時間だった。
視界が回復したのとほぼ同時に衝撃は消えうせ、俺の腕は一気に加速する。その直後、目の前を炎を纏った剣が通過。ほんのわずかの遅れで漆黒の欠
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