第五十二話「過去編・消失」
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脚の筋力をフル活用し、フィリップに群がる感染者のもとへ。
「おおぉぉぉぉぉ!!」
グシャッ
鈍い音が鳴った。
疾走の勢いを殺さず、そのまま感染者の顔面を殴りつけた。
殴られた感染者は勢いよく吹き飛び、装甲壁にぶち当たった。
「フィリップ……大丈夫か?」
フィリップと背中を合わせ、感染者の方を向いたままフィリップの身体の心配をする。
フィリップは弱々しくそれに答えた。
「……………気分が悪い………けど、まだまだ、戦える………大丈夫だ」
「心配するな、俺が援護する」
「そうか………ハハハッ………そいつは、心強い………」
2人の様子を見ていたレックスとタガートは、再び武器を構え直す。
「これで心置きなく、存分に戦えるってもんだ」
「あぁ、ブランクがフィリップと戦えば、もうフィリップが感染者に殺される心配はない」
「…………感染しちまっても、本部にはアリア博士がいる。なにかしら治療してくれるはずだ」
「…………………そうだな」
「「フィリップは絶対に殺させない」」
ようやく装甲壁内の感染者をあらかた倒すことができた。
その直後、フィリップは膝から崩れ落ちた。
「大丈夫か? しっかりしろ」
ブランクはフィリップの肩を担ぎ、立ち上がらせる。
「………俺を、置いて行け……………」
「ダメだ、死なせるわけにはいかない」
フィリップの言葉を却下し、兵士達と共に爆撃機を目指す。
「皆、先に行ってくれ。俺達と歩幅を合わせると撤退が遅れるぞ」
ブランクが兵士達に、先に爆撃機へ行くよう頼んだ。
その頼みに、タガートは同意した。
「…………分かった。司令………」
「私は2人の援護に回る。この状態で襲撃を受けるのは危険すぎる」
「……………分かりました。フィリップ、死ぬなよ………」
そう言い残すと、タガートは他の隊を率いて爆撃機の方へ走って行った。
「フィリップ、大丈夫だ。本部のアリア博士がきっとなんとかしてくれる。だから死ぬなよ」
レックスもフィリップに言葉を残し、タガートの後に続いた。
「あの怪物の襲撃を受けず、ここまで来れたな」
足取りは遅かったものの、ようやく3人は装甲壁のゲート前まで移動できた。
「司令、この装甲壁のゲートはどうしますか?」
「封鎖する。地下6階、地下3階を封鎖したとは言え、これで100%安心とは言えないからな」
「3重の壁、ということですか」
「そうだ」
そう言うと、ヴェールマンはゲートのすぐ右隣に取り付けられた制御パネルを操
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