番外7話『ドラム島で試し撃ち』
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ントは既にそういう空気を感じていた。
普段ならばどうという相手ではない。別のことを考えながら戦っても勝てるような相手だ。ただそれはもちろん普段という条件が必要であって、今のように体に力がまともに入らないような状況ではさすがにまずい。
――かといって相手にしなかったらルフィたちに追いつきそうだし。
いくらルフィたちでも雪国が本職の生物の足にはかなわないだろう。
ルフィたちが負けるとも思えないが、何かの拍子にルフィが一撃をもらう可能性はある。そしてそれでナミが死んでしまう可能性だってある。
「……はぁ」
つまるところ、絶望的に体力のない自分が彼らを倒す、もしくは時間稼ぎをする必要があるということで。その結論に達したハントが「ふ……は……ほ」と軽く体をほぐし始める。
「む? なにやっとるんだこいつは」
「準備運動……ですな」
ワポルの問いに後ろに座っていた黒アフロの髪型をした男、クロマーリモが答え、それに聞いたワポルが同じく後ろに座っていたチェスという男へと言う。
「王を無視して準備運動を始めた人、惨殺」
さらりととんでもないことを言うワポルの言葉には耳をかさず、ハントは熱心に準備運動を続けながら「あ、ちなみに崖のある方向ってどっちかわかる?」
「む、あっちだが」
「なるほど、ありがとう」
いきなりハントの問いに反射的に答えてしまったワポルだが別に彼は親切なおじさんでもなんでもない。ハントたちに復讐しようとしている怒りをもったおじさんなのだ。
「って何こたえさせてくれとんじゃ!」
当然激昂し、そして――
「――殺してやれお前たち!」
「そのように」
「そのように」
ワポルの指示が飛び、クロマーリモとチェスが一斉に動き出す。
「ビックリマーリモ!」
クロマーリモの黒いグローブから鉄の棘が生え、それで殴ろうとハントの顔面へと拳を振るう。既に心構えが出来ていたハントは慌てずにそれを回避し、がら空きの顎にアッパーを打ち込もうとして、動きを中断。「くそ」と悪態をついてその場から飛び上がって後退した。
直後、ハントが寸前までいた位置に3本の巨大な矢が突き刺さる。
「っ」
ホッと一息をつく暇はない。
着地したその場で、慌てて左足を軸にして半回転。右足による後ろ回し蹴りを、真っ白な雪が覆う背中側の景色へと放ち――
「――ぐほ!?」
雪の景色に隠れていたワポルを蹴り飛ばした。
「ワポル様!?」
「貴様!」
チェスがあわててワポルに駆け寄り、それを守るようにクロマーリモがまた鉄のグローブで覆われた拳をハントへと振るう。これに、ハントはまっすぐに構えて、そのまま正拳を打ち込む。
クロマーリモの鉄の拳が
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