番外7話『ドラム島で試し撃ち』
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であろうと推察。
殺さなかったという事実は結果としてハントにしてみれば嬉しいことなのだが、その反面、殺せなかったという事実は雪崩ごとラパーンの群れを殺すつもりで放った奥義の失敗を意味しており、それがハントの顔を暗くさせていた。
魚人島を出てまだ大してたっていない。そんなハントがいくら毎日の修行をかかしていないとはいえ、魚人島出発時に習得できていなかった奥義をいきなり使えるようになっているわけもなく、それはハント自身もわかっている。ただ、それでもやはり残念な気持ちになってしまうのは仕方のないことだろう。
――何か足りないんだよなぁ。
単純に体力か、それとも筋力か、技の練度なのか。
思い浮かぶ原因を考え、だがそれらは原因の枝葉であって根本ではないと判断し、首を横に振る。
――もっと根本的ななにか、なんだよな多分。
彼の師匠ジンベエにあってハント自身に足りていないもの。
――ま、こればっかりは焦っても仕方ないか。
自分に言い聞かせ、それよりも今は山を下りることが先決だと思い直し、ゆっくりと歩き出す。いくらハントとはいえ、ここは未だに吹雪き続けている雪の山。ずっとじっとしていたら凍死してしまってもおかしくはない。
再び歩き出したハントは、考え込んでいる間にまた体力が少しは回復したのか、息切れはなくなり顔色も若干だが元に戻っていた……とはいえ足取りはやはり重いままだが。
それからどれだけ歩いたか、おそらくは半時間か、もっと短い時間か。多分その程度。
「見てください! いましたワポル様!」
「ぶち殺してくれる!」
「……ん?」
気だるげに歩くハントを、一陣の影が囲うようにして立ちはだかった。
「まぁてぇい、小僧。海の上ではよくもこの俺に無礼を働いてくれたな!」
言葉の主のとおり、たしかにハントもその人物を見たことがあった。
バクバクの実を食した悪魔の実の能力者、ワポルとその配下チェスとクロマーリモだ。3人まとめて、おそらくはこの国の生物なのであろう足の長いカバに乗っているのが少しばかり滑稽だが、それはともかく。
彼らは麦わら一味がドラム島を探している途中に襲ってきた海賊船の一味だ。メリー号を食おうとしたので主にルフィがぶっ飛ばして事なきをえたのだが、よほど恨みをもっているのか、ただ一緒にいただけで害を与えていないハントにも敵意の矛先を向けている。
――……こんな時に。
ハントはため息をついて自分を囲む彼らへと視線を向ける。
「一人のようだが……麦わらの小僧たちはどこにいる?」
――これはまずいかなぁ。
別に見聞色を使ったわけでもないが、それでも一般的に考えてワポルたちが自分を見逃すわけがない。ハ
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