番外7話『ドラム島で試し撃ち』
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雪山でそれが広く響く。当然に耳に入ってきた言葉にサンジがはじかれたようにハントへ視線を送り、それから慌てて詰め寄ろうとしたところで、その前にハントが背中から倒れこんだ。
「お、おい!」
「ん、どうした?」
一瞬前とは別の意味でサンジが慌て、早速医者のところへと走りだそうとしていたルフィが首をかしげる。
「はぁ……はぁ」
大きく、そして小刻みに胸を上下させ、何度も呼吸を繰り返すハントの様子が普通ではないことにさすがのルフィも気づき、慌ててハントの顔をのぞき込む。
自分を心配してくれている二人に、ハントがゆっくりと上半身を起こしながらどうにか口を開く。
「……だいじょ……体力、が……なくなっ……だけ」
「体力がなくなっただけって言いたいのか?」
「……」
ルフィの問いかけに、ハントが頷く、
「……ちっ、俺が背負ってやる、さっさと行くぞ」
不服だがほかに選択肢はない。
サンジが嫌そうにハントを背負おうとしたところで、ハントが首を横に振った。
「先……ってくれ……俺が、いないほうが……はやい、だろ……俺は少し、休んで……ふぅ……一人で……ふぅ、町に帰る」
「いやけどよ」
「顔色わりぃぞ、本当に山降りれんのか」
「いいから、俺より……今はナミだろ」
未だに苦しそうだが、たしかによく見れば数秒前よりは呼吸も安定してきているし、何より自分たちに脅威をさらしていたラパーンはハントの技の余波でも浴びたのかすべてが頭上の雪上で倒れている。敵もいないこの状況で、ハントを心配するよりも既に限界に近そうなナミを優先するべきなのは確か。なによりサンジまでハントを背負ってしまったらナミを背負っているルフィを護衛することが難しくなる。
「行ってくれ……ナミを頼むよ」
頭だけを下げていうハントに、ルフィが「本当に大丈夫なんだな?」
「ああ……ゆっくりと山を降りれば問題ないと思う」
「……わかった。行くぞサンジ」
「……おう」
ハント本人が大丈夫と言っている以上、ルフィとサンジもそれを信じるしかない。ルフィがわずかにためらいを見せつつも、すぐに医者のいる城を駆け出し、サンジはルフィとはまた少し違う怪訝な表情を浮かべ、わずかにハントに声をかけるそぶりを見せつつも、今はナミが先だと優先したらしく、結局はルフィの背についていく。
「ふぅ」
彼らの背中を見つめながら、ハントは一度息を吐き、それから辛そうに立ち上がった。
――んー……まぁ、無理だよな。
限界を超えた疲労からか、痙攣する右腕を見つめて、ハントは面白くなさそうに思う。
視線を、はるか高いところで倒れているラパーンたちへと送り、彼らは気絶はしているだろうがおそらく半日と立たないうちに目覚める
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