第一話
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「あん?」
少女は、どこにそんな力があるのか。力強く一誠を引っ張る。いくつか階段を登り、角を曲がると張り紙が見えた。
オカルト研究部。確かにそう書いてある。
「ここです」
「…………」
「先輩?」
「……なんで、知ってんの?」
一歩下がる一誠。そして、もう一歩。
「…………」
「おかしいだろ、改めて考えれば。落ち着きすぎだったよお前」
「…………それは、中で部長にきいてください」
「部長だぁ? グレモリーの、ことか?」
こくりと、頷く。一誠の目を真っ直ぐに見つめて。
「…………」
「…………」
ドアノブに手をかける。扉のたてつけは、悪かった。中には、やはり赤い髪が見える。
「小猫? 彼をつれてきたの?」
「いえ、勝手に来ました」
「勝手に、てな。お前」
ジト目で小猫と呼ばれた少女を見るが、当の本人は無表情だった。
「あなたはなんで来たのかしら」
「…………」
そこで一誠は悩んだ。あの時から、すこしだけ思慮深くなっているような気がするが、それは良い。どちらかといえば良い傾向だろうから。
予測では、グレモリーは何かしらを知っている。だが、それは先ほどの男の仲間であるという可能性もあるということだ。赤い髪の奥に、二人の影が見える。
まだ扉は閉めていない。閉めてしまえば終わり、なんてこともあり得るのだから。
「どうしたの?」
「…………あんた」
「?」
「あんた、何者なんだ?」
目つきが厳しくなる。だが。そんなことは気にしても意味は無い。
「さっき黒い羽の男に襲われたよ。そいつが主は誰だって訊いて来た。俺の予想では、あんたが俺の主なんだろうが、まだ信用できない――だから、あんたは何者なんだ?」
そう言うと、グレモリーはあぁと息づく。それはこちらも同じなのだが、少なくとも、グレモリーのそれは感嘆も混じっているように見える。
「そう。それも一緒に説明しましょう。そこに座ってくれるかしら?」
「答えはノーだ。まだ信用できない。いきなり光が飛んでくるとかも、あるかもしれないからな」
「それはないわ。私たちにとって、その光は毒だから」
「? 毒?」
「そうよ。私たち悪魔にとってはね」
その台詞とともに、一誠とグレモリーの背中から翼が音を立てて広がった。
◇◇◇□□□◇◇◇
そこは駒王町に最も近い空港。現れたのは、シスターらしき服装をした金髪の少女だった。サングラスをはずし、空を見上げる。
まだ幼さの残る可愛らしい顔に、どこか憂いを帯びた顔。それを見た周囲は、目を奪われる。どうしようもなく美しかった。
少女は、一息ついてこう言う。
「イッ
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