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少年と女神の物語
第四十一話
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「ったく・・・マリー、さっき手を出そうとしただろ」
「それは・・・」
「自分の体のことくらい、分かってるよな?」
「・・・大丈夫だよ、一般人くらいなら・・・」
「いいから。誰かいるときは、出来る限りそっちを頼れ。まったく・・・なんでアレだけのことで・・・」

 俺がそう言うと、マリーはむすっとした顔でこちらに反論してくる。

「だって、武双お兄様がバカにされたんだよ?分かる?大好きな人をバカにされたときの気持ち」
「まあ、わからなくはないけどな。俺も、家族がバカにされたらキレるだろうし」
「はぁ・・・まあ、他の方を武双お兄様が分かっても、困るけど」

 そう言いながら歩くマリーは、ぱっと見は普通に歩いているように見えるのだが・・・よく見れば、体重をできる限り右足にかけないようにしているのが分かる。

 あの時、テキトーに近くで一番でかい組織に飛んで、カンピオーネの名前を使って全力で脅してマリーの治療をやらせた結果、魔術、外科の全てを使って繋げさせ、入院も必要ない状態にはなった。
 だが、完璧に治る、と言うことはなかった。後遺症として、多少歩きづらくなったし、あまり負担をかけてはいけない。
 当然、蹴ったり殴ったりはアウト。変に刺激をしてしまうと、今度こそどうにもならなくなる可能性がある。

「・・・ゴメンな、マリー。俺のせいで右足・・・」
「だから、もういいって。武双お兄様が治してくれるんでしょ?」
「ああ。絶対に、治す」

 マリーのこの足は、今ある外科技術でも、魔術の技術でも治すことはできないとはっきりと言われた。
 でも、そんなのとは比べ物にならない力が・・・権能が、ある。
 初めはアイーシャを捜してみたんだが・・・全く見つからない。また過去に飛んでいるようだった。
 となると、もう手段は一つしかない。俺が、そのための権能を手に入れればいい。

「あ、でも。そのためにわざわざ顕現もしていない神様を刺激するのは、絶対にしないで」
「分かってるよ。そんなことをしたら、本当に何が起こるか分かったもんじゃないし」

 一瞬考えたのは否定できないが、その時にヴォバンの行ったまつろわぬ神将来の儀を行ったことを思い出した。
 アレだけの被害を及ぼす可能性があることを、さすがにやるわけには行かない。

「じゃ、早く行こう。皆待ってる」
「そうだな。・・・って、走るなマリー!」

 走り出したマリーをどうにかして捕まえ、そのまま歩いてみんなの元に向かった。
 途中で結構な人数の人がマリーの事を見てきたので、そのたびに軽く睨みつけたことは・・・まあ、気にしなくていいだろう。



◇◆◇◆◇



「ふぅ・・・食った食った」
「お年より臭いですよ、武双」

 食ってからその場に
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