暁 〜小説投稿サイト〜
知恵を手にした無限
プロローグ2
[2/2]

[8]前話 [9] 最初 [2]次話
う?」

 笑う。

「もう十分だろう。苦汁は嫌というほどになめただろう。地べたに這い蹲り、上を崇め続けて、嫉妬して固執して、願ってあやかって、認められず目をそらし、強者になることを目指して」

 狂わせる。

「そして完成した。勝利の美酒を分かち合う同士が。天をも揺らぎ、弱者を歯牙にもかけず、賛美して、傷をなめあい、さらに空を仰ぎ、力を手に入れた」

 歪める。

「私の名の下に、これほどの存在が――強者たりえる、翼無き存在が集ったのだ」

 崩しさる。

「誇りなき悪を、主なき使いを、大罪に身を委ねた鴉を。誰にも染められぬ白と誇り高き悪が、打倒するべき時がきた」

 価値観を、信じてきたものを、諦めを、概念をも、書き換える。

「逆流を上り詰めろ。私の畏怖の名を糧とし、鯉が龍となる」

 もう、この場にいるものに、迷いなど無かった。
 分かった。理解した。
 目の前にいる少女ならば。無限の龍神ならば、翼を手に入れる道標となることを。もう疑う余地などなかった。

「さぁ、戦争を始めようではないか」


 ――誇りと静寂をかけて



   ◇◇◇□□□◇◇◇



 ところで、知恵を得た龍神ではあったが。思わぬ誤算もあった――まあ、そもそも予知すらできていなかった時点で、誤算とは言いがたいが、少なくともこのときは気付いていなかった。弱者を連ねた龍神の背後をつく、毒に。
 これ以上ないほどに力を蓄えたオーフィスを狙う影には、まだ誰も気付かない。

 

 
 
[8]前話 [9] 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ