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久遠の神話
第九十四話 憂いが消えてその十二
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 彼もだ、そうするというのだ。
「気にしなくていいよ」
「そう、ではね」
「ええ、何もなしということで」
 こう智子に答えるのだった、そのうえで。
 アポロンはまた弁当、海鮮弁当を頼んだ。そうして三つ目も食べてからだった。
 八条駅に着いた、そのうえで。
 駅から降りるとだ、聡美はすぐに兄に言った。
「それでは今から」
「病院に行くんだね」
「この駅からすぐです」
「歩いて行けるかな」
「はい、歩いて五分です」
 それ位の場処にあるというのだ。
「本当にすぐですので」
「そうだね、五分だとね」
 アポロンも妹の言葉を聞いて述べる。
「ちょっとお話をしている間だよ」
「ではいいですね」
「行こう、案内を頼むよ」
「それでは」
 聡美は道案内を名乗り出てだ、そうしてだった。
 智子と豊香の二人も入れて合わせて四人で八条病院に向かった。八条病院は別館まであるかなり大きな病院だった。
 その白い巨大な建物の中に入りだ、アポロンは受付の場で人間として今使っている名前を出した。すると。
 受付の人はだ、その名前を聞いただけですぐにだった。血相を変えてそのうえでこう彼に言った。
「はい、それでは」
「僕のことはもう聞いてるんだね」
「そういえば今日でしたね」
「うん、今日来ることはね」
「聞いていました」
 その通りだとだ、受付の人はアポロンに答える。
「では今から」
「患者さんを見せてくれるかな」
「今から外科の先生が来られます」
「もう呼んでくれたんだ」
「今しがた」
 そうしたとだ、受付の人はその顔色を戻しつつアポロンにまた答えた。
「そうさせてもらいました」
「早いね。ではね」
「暫くお待ち下さい」
「そうさせてもらうよ」
 アポロンは微笑んで受付の人に応えてだった、そのうえで。
 一行は暫く受付場所の前の待合コーナーの席に座った。すると本当に暫くして初老の白髪の男性が来た。服は白衣だ。
 その人が来てだ、アポロンを人間の世界で彼が使っている名前で呼んでそのうえでこう言ったのであった。
「では先生、今より」
「はい、患者さんのところに案内して下さい」
「こちらです」
 こうしてだった、アポロンは三人の女神達も連れてだった、そのうえで中田の両親と妹のところに向かった。
 そのうえでだ、彼は中田の家族、集中治療室で意識不明のままベッドに横たわり点滴と酸素呼吸を受けている三人を見て言った。同時に彼等のカルテも見てである。
「この状況でしたら」
「この患者さん達を助けられますか」
「はい」
 絶対に出来るとだ、中田は先生に微笑んで約束した。
「ご安心下さい」
「そうですか、流石ですね」
「ではです」
「それでは手術は」
「明日は」
「今日から準備してですと」
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