第九十四話 憂いが消えてその十
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「今丁度」
「大阪をだね」
「後は神戸に入り」
そしてだというのだ。
「神戸の西の端に行けば」
「そこがだね」
「はい、八条町です」
彼等が今着くべき場所だというのだ。
「そこです」
「そう、じゃあまだ時間があるのなら」
それならとだ、アポロンはその目を微笑まさせてこんなことを言った。
「またお弁当を貰おうかな」
「えっ、またですか」
これにはだ、聡美だけではなく。
智子と豊香も驚いた、そのうえでこう彼に言った。
「今二つも食べたばかりだけれど」
「お空でも召し上がられていたのですよね」
「それでもなの」
「またですか」
「そうだよ、美味しいからね」
それで食べるとだ、アポロンは二人の女神に明るい笑顔で答えた。
「もう一つね」
「貴方どうやら」
アポロンのその明るい顔と言葉を受けてだ、智子は呆れた顔で彼に対してこう言った。
「前よりも」
「そうですね、食べる量が増えてますね」
豊香は驚きを隠せない顔であった。
「どうやら」
「そこまで食べる様になっているとはね」
「少し驚いています」
「それで太らないのならいいけれど」
「そこは大丈夫ですか?」
「ははは、大丈夫だよ」
全く以てだとだ、やはり明るく笑って答えるアポロンだった。
「その分働いているからね」
「だといいけれど」
「それでしたら」
「とにかく。美味しいからね」
だからだというのだ、今も。
「もう一つ頂くよ」
「それならもう少し待てばね」
「また売り子の人が来ますから」
「それまで待っていてね」
「暫くの間」
「そうさせてもらうよ、いや海の幸は最高だよ」
アポロンの好みに合っているというのだ、その舌の。
「本当にね」
「では」
「うん、またね」
買うというのだ。
「いや、幾らでも食べられるよ。こうなったら」
「こうなったらとは」
「日本の駅弁を全て食べようか」
こうまで言うアポロンだった。
「もうね」
「日本の駅弁を全ては」
その言葉を聞いてだ、智子はアポロンに呆れた顔で言った。
「ちょっと」
「無理かな」
「無理よ」
到底だというのだ。
「それはね」
「それだけ種類が多いのかな」
「日本の食文化はかなり豊かでね」
駅弁にもそれが出ているというのだ。
「さっきもお話に出たけれどそれこそちょっとした有名な駅ごとにね」
「駅弁があるんだ」
「各地の名物を使ったね」
「では百位かな」
「もっと多いわね」
それ程までだというのだ。
「どれ位あるかは私も調べていないわ」
「それでも百を超えるんだね」
「優にね」
「そうなんだ、けれど」
「まさかと思うけれど日本にいる間に」
「今欧州は大変じゃない」
アポロンは実に明るくこのこ
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