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久遠の神話
第九十四話 憂いが消えてその八

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「そのことはね」
「やはりそうですか」
「あの人は意地でも諦めないよ」
「全ての剣士が戦いから降りても」
「それは今の戦いだけのことだね」
「はい」
「それならだよ、神々の命は永遠なんだ」 
 そこが人と違う、だからだというのだ。
「それならまた次があるから」
「次の戦い、剣士達の戦いを起こして」
「そう、それでね」
「力を集められますか」
「まだね」
「ではこの戦いだけを終わらせても」
「この戦いだけだよ」
 今この戦いだけしか終わらせられないというのだ、剣士の戦い自体は終わらせられないというのである。
 それでだ、こうも言うアポロンだった。
「まさにね」
「では戦い自体を終わらせる為には」
「最善は確かにあの人を説得出来ることだよ」
「ですがそれは」
「無理だよ」
 これはだ、どうしてもだった。アポロンが無念の声でいい聡美達も頷くしかないことであった。わかっているが故に。
 それでだ、アポロンは海鮮弁当の二つ目を食べつつ言うのだった。
「言葉で止められないのなら」
「戦いしかありませんか」
「覚悟はしているね」
「ええ」
 今度は智子が答えた、そのことについて。
「そのことはね」
「流石だね、アテナ神は」
 戦いの女神であり智の女神でもある、それだけはあるというのだ。
「もうそのことも」
「若しもアルテミスとセレネー姉様が闘えば」
「その時はね」
「アルテミスは負けないわ」
 セレネーに対してもだ、だがだった。
「負けはしないけれど」
「勝てないね」
「アルテミスと姉様の力は拮抗しているから」
 だからだとだ、智子は聡美の方を見て言うのだった、聡美は智子の右隣に座っている。
「闘えばその時は」
「二人共ね」
「ええ、そうなるわ」
「そのこともあってだね」
「私達は日本に来たわ」
「そうしました」 
 智子だけでなく豊香もだ、ここでアポロンに言った。
「それ故にです」
「アルテミスは死なせないわ、それに」
「セレネー女神もだね」
「ええ、必ず」
 智子はアポロンに強い声で答えた、そこには決意があった。
「姉様も死なせないわ」
「セレネー女神は決して邪な女神ではないよ」
 アポロンも言うことだった、セレネーについて。
「そのお心はね」
「非常に素晴らしい方よ」
「だからこそだね」
「ええ、絶対にね」
 彼女についてもだ、智子は死なせないと言うのだった。
「力は拮抗していればするだけぶつかり合った時のダメージが大きいもの」
「一方が強ければ強いだけ」
「ダメージは少なくなるわ」78
「一対一では両方共死ぬけれどね」
「それでも三柱なら」
「お姉様を止められるわ」
 勝ってもだ、死なせるのではなくというのだ。
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