オリジナル/未来パラレル編
第20分節 虎が雨
[2/2]
[8]前話 [9]前 最初 [1]後書き [2]次話
“もう…っ、片方の手もっ、出せ! 凌馬!”
“――貴虎”
――その時の凌馬の表情を、貴虎は一生忘れない。
“ねえ、貴虎。私はね、キミのことが結構スキだったんだよ。私だけじゃなくて、湊君もシドもね”
凌馬は普段の他愛ないおしゃべりと変わらない笑顔で、貴虎の手を振り解いた。
“がんばりたまえよ、リーダー”
こうして貴虎は同志を全員喪い、孤立した。
…
……
…………
(下らない感傷に過ぎないのに。俺はここを離れられないでいる。いや、縛られている、のか。いつ崩れ去るともしれないこの場所に)
貴虎はオフィスチェアに深く腰かけ、目を細めて思い返した。
――あの後、プロジェクトアークの準備段階、つまり人口調整の計画がどこからか世界中に公開され(どこからか、と言ったが貴虎はおそらく光実だろうと睨んでいる)、ユグドラシル・コーポレーションの権威は地に堕ちた。
秘密が秘密でなくなったことで、スカラー装置も出番を失った。
プロジェクトアークのために必要な、ドライバーの量産も、人口調整も、その半分も行えないままで終わった。
(だというのに、俺は安心している。人類を救うという目的を、奪われ壊されることで解放された気になっている。つくづく俺はどうしようもない男だ)
今やユグドラシル・コーポレーションは発足当時の、ただのヘルヘイム研究組織へと回帰しつつあり。
呉島貴虎は、この沢芽市に数多いるアーマードライダーの一人に過ぎなくなっていた。
[8]前話 [9]前 最初 [1]後書き [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ