暁 〜小説投稿サイト〜
Element Magic Trinity
想いの力
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ィの魔力は既に空であり、ゼロにやられた傷も含めてとてもじゃないが魔水晶(ラクリマ)を壊せるような状態にはない。
そしてルーシィはティアのように蹴りで何かを壊せる訳でも、ナツのように拳で何かを壊せる訳でもない。唯一鞭があるが、それでは魔水晶(ラクリマ)は壊せないだろう。

「それでもウェンディ達のギルドを守りたい。俯いていたくない」

これだけの絶望的な要素が並びながらも、ルーシィは諦めない。
立ち上がろうと、力を込める。

「だからあたしは最後まで諦めない」

痛みを堪えながら壁を利用してルーシィは立ち上がろうとする。
すると、ずっと黙っていたルーが口を開いた。

「・・・ルーシィ」
「どうしたの?」
「一か八かだけど・・・僕の全魔力をルーシィにあげる」

よろよろと1歩1歩足を進め、ルーは微笑んでみせる。
だが、ルーシィは知っていた。
ルーの魔力も、1人を完全に回復させる事さえ不可能なほどに少ない事を。
今日だけで盾を張り、短剣を作り、翼を生み出し空を飛び、傷を治してきた。
元々多くないルーの魔力はそれだけの事でも、まともな回復さえ出来なくなるほどに減る。

「何言ってんのルー・・・ルーも魔力が」
「僕は大丈夫。大丈夫・・・だから・・・」
「ルー!」

ふらりと足を進め、ドサッと崩れ落ちる。
ハァハァと息をする表情は苦しそうで、辛そうで、どこか悲しそうで―――泣きそうだった。

「ルー・・・?」

慌ててルーに駆け寄ったハッピーが顔を覗き込み、呟く。
苦しそうに息をしながらも、ルーは口を開いた。

「・・・ウェンディとココロは育ての親が行方不明で・・・ギルドの人だけが・・・家族って呼べる人達なんだ・・・アランは解らないけど・・・ギルドの皆が、大切だって思ってる・・・」

ぐぐぐ・・・と無理矢理体を起こそうとし、バランスを崩して膝をつく。

「家族とか、大切な人達が消える時の辛さを・・・僕は知ってるから」

住んでいた村は滅びた。
村に帰っても、そこには跡地と多くの墓しかない。
自分の事を温かく迎えてくれる家族も、村に住んでいた人達も、もうルーに会う事はないし会える事もない。
だから、ルーは立ち上がる。

「諦めたらそれは死に繋がる・・・だったら、苦しい思いしたとしても、諦めたくない。皆が頑張ってるからとかじゃなくて、僕が頑張りたいから頑張るんだ」

力強く、笑う。
それは小犬と呼ばれる愛らしい笑みではなかったけれど。

「やろう、ルーシィ。意地でもあの魔水晶(ラクリマ)を壊そう・・・万が一の時は、銃を抜く」
「・・・うん」

2人は頷き合い、まずは立ち上がる事から始める。
が、痛みが邪魔をしてうまく立ち上がれない。
すると―――――――


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