想いの力
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ィの魔力は既に空であり、ゼロにやられた傷も含めてとてもじゃないが魔水晶を壊せるような状態にはない。
そしてルーシィはティアのように蹴りで何かを壊せる訳でも、ナツのように拳で何かを壊せる訳でもない。唯一鞭があるが、それでは魔水晶は壊せないだろう。
「それでもウェンディ達のギルドを守りたい。俯いていたくない」
これだけの絶望的な要素が並びながらも、ルーシィは諦めない。
立ち上がろうと、力を込める。
「だからあたしは最後まで諦めない」
痛みを堪えながら壁を利用してルーシィは立ち上がろうとする。
すると、ずっと黙っていたルーが口を開いた。
「・・・ルーシィ」
「どうしたの?」
「一か八かだけど・・・僕の全魔力をルーシィにあげる」
よろよろと1歩1歩足を進め、ルーは微笑んでみせる。
だが、ルーシィは知っていた。
ルーの魔力も、1人を完全に回復させる事さえ不可能なほどに少ない事を。
今日だけで盾を張り、短剣を作り、翼を生み出し空を飛び、傷を治してきた。
元々多くないルーの魔力はそれだけの事でも、まともな回復さえ出来なくなるほどに減る。
「何言ってんのルー・・・ルーも魔力が」
「僕は大丈夫。大丈夫・・・だから・・・」
「ルー!」
ふらりと足を進め、ドサッと崩れ落ちる。
ハァハァと息をする表情は苦しそうで、辛そうで、どこか悲しそうで―――泣きそうだった。
「ルー・・・?」
慌ててルーに駆け寄ったハッピーが顔を覗き込み、呟く。
苦しそうに息をしながらも、ルーは口を開いた。
「・・・ウェンディとココロは育ての親が行方不明で・・・ギルドの人だけが・・・家族って呼べる人達なんだ・・・アランは解らないけど・・・ギルドの皆が、大切だって思ってる・・・」
ぐぐぐ・・・と無理矢理体を起こそうとし、バランスを崩して膝をつく。
「家族とか、大切な人達が消える時の辛さを・・・僕は知ってるから」
住んでいた村は滅びた。
村に帰っても、そこには跡地と多くの墓しかない。
自分の事を温かく迎えてくれる家族も、村に住んでいた人達も、もうルーに会う事はないし会える事もない。
だから、ルーは立ち上がる。
「諦めたらそれは死に繋がる・・・だったら、苦しい思いしたとしても、諦めたくない。皆が頑張ってるからとかじゃなくて、僕が頑張りたいから頑張るんだ」
力強く、笑う。
それは小犬と呼ばれる愛らしい笑みではなかったけれど。
「やろう、ルーシィ。意地でもあの魔水晶を壊そう・・・万が一の時は、銃を抜く」
「・・・うん」
2人は頷き合い、まずは立ち上がる事から始める。
が、痛みが邪魔をしてうまく立ち上がれない。
すると―――――――
「
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