第十話
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7割を失った後、命令により撤退した。
壊滅したファーレンハイト艦隊からなんとか本隊に帰還した艦船によって、現状危険宙域での戦闘行為はハードの面で不可能であると帝国軍は判断せざる負えなかった。
打つ手がほぼなくなった帝国軍は突破口を開く案がないかどうか模索していた。こちらの補給線に負荷がかかるが、マル・アデッタを封鎖し同盟軍を干上がらせる。本国から指向性ゼッフル粒子発生装置を取り寄せる。幾つかの案が挙がったがどれもすぐに使える策ではない。
帝国軍が手をこまねいているうちに同盟軍は嫌がらせのように攻撃をしてきた。当然のこのこと暗礁宙域から出て来たら圧倒的戦力からの集中砲火が待っているため、ランダムに(同盟から見たらある程度規則性がある)恒星風に乗り攻撃を仕掛けては再び暗礁宙域に離脱するというお互い被害が少なすぎるあまり意味がなさそうな攻撃である。
ヤンは無意味にこの攻撃を繰り返しているのではない。万が一帝国の本陣が恒星風で分断されるようなら総攻撃を仕掛けるそぶりを見せるで帝国軍としても無下に扱うわけにも行かない。それ以上にヤンは圧倒的少数にかき乱されるという状況を帝国軍の将兵の強要することを目的にしていた。
あまりに少ない敵にかき乱されるという精神上の苦痛は、冷静さを失わせる効果がある。かつて第六次イゼルローン要塞攻防戦でラインハルトが少数で多数を引きずり回すことで敵の冷静さをなくし同盟軍をトールハンマーの射程に引きずり込むことに成功している。それよりも気が長いがヤンはそれと同じようなことをしようとしている。士官が冷静でも一端の兵士は間違いなく平静さをなくしていた。何とか暗礁宙域へ追撃しようとするのをようやく静止しているのが現状である。
結局協議が終わらないわずか3日後、帝国軍技術研究部は危険宙域での艦隊運動に必要なプログラミングを実用レベルまで作り上げ不利ながらも同盟軍と戦えるようになった。人材が払底している同盟で同様のことをしようと思ったらこの2倍かかってもおかしくはない。
危険宙域での艦隊運動が可能となった帝国軍はすぐさま作戦行動を起こした。回廊内を艦隊で進行しつつ、回廊外周部の危険宙域を確保する。数が同盟のおよそ3倍あるからこそできる贅沢な作戦だ。このような作戦を取られたら同盟軍は小細工を弄すことはできず危険宙域という効果が以前より望めない地理上の有利だけを頼りにせざる負えなくなる。そして地理上の有利だけでは同盟軍が勝利することはできない。
いざ回廊に突撃した帝国軍を待ち受けていたのは同盟軍の激しい抵抗ではなくあっさり下がっていく同盟軍だった。お互い大した被害もなくそのまま回廊出口に出てしまった。
回廊から出る瞬間、逆撃を警戒しつつ進んだ帝国軍を待ち構えていたのは、一目散に逃げているわずか数千隻の同盟
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