刻針海賊団とフーシャ村
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かうのは、ルフィ少年がはたしてどこまで強くなるのかという、ただその一点のみである。
それにしてもこの店主の嬢ちゃん、山賊のところへ顔を出すと言っていたが、俺たちがいなかった場合護衛はどうするつもりだったのであろうか。山林に住む野獣はもちろん、向かう先は山賊のアジトである。まあその山賊たちも見知らぬガキンチョを預かるぐらいなのだからただの残虐非道な下種どもというわけでもないのだろうが、それにしたって山賊は山賊。そんな奴らのたむろする場所へ一人で足を運ぶつもりだったのだとしたら、この嬢ちゃんは穏やかげな見た目に反して大した肝っ玉である。
「はい、お待ちどうさま」
「あいよ」
「いただきます」
飯が出来俺たち三人の前に定食が並べられる。礼儀正しく食事を始める挨拶をしたルティアの分だけ器が小さいが、まあ体格に見合ったサイズであろう。たまに体の大きさと釣り合わぬ量を馬鹿食いする奴がいるが、ルティアは別にそんなこともない。見たまんまである。
「……ふむ、五十四点」
ルティアと反対側の俺の隣の席には、出された飯を一口食べて点数を付けるという失礼極まりないことをしている阿呆がいる。店主の嬢ちゃんは見た目十代後半から二十歳といったところであるため、この馬鹿のストライクゾーンからは完全に外れているのだ。ゆえに遠慮も何もなく料理人として味の評価を下したのだろう。誰もそんなことしてくれと頼んだ覚えはないのだが。
店主の嬢ちゃんも苦笑いしながら「あまり料理上手じゃなくてごめんなさいね」と謝っている。が、エドックが幼女の料理以外に五十点越えの評価を出すことは滅多にないので、まずもってこの嬢ちゃんは料理上手な方と言えるであろう。実際美味い。ちなみに、幼女が作った料理であればエドックは例外なく百点という評価を出す。贔屓目ならぬ贔屓舌もここに極まれり。なんともブレない奴である。
「嬢ちゃん、うちの阿呆がすまねえな。こいつの言うことは気にせんでくれや、十分美味い。……さて。それで明後日だが、お前さんらはルフィ少年に会うかね?」
店主の嬢ちゃんに軽く謝ってからエドックとルティアに顔を向ける。
「逆に聞くけど、僕が幼女以外に会いたいと思っていると思うかい?」
「うむ、ならお前さんは明後日船で留守番決定な」
「な、なんて巧妙な罠なんだ……」
船番決定に打ちひしがれる阿呆。どうやらこの展開は予想もしていなかったらしい。そして、その数秒後に「まあ、村に幼女もいないし船でもいいか」と開き直る辺りも流石である。
「んで、ルティア。お前さんはどうするね?」
「さて、どうしましょう? ……そういえば、アルマさんは先ほどルフィ君のことを鍛えるかもしれないと仰っていましたが、流石にまだ幼いルフィ君に無茶なことをしたりはしませんよね?
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