刻針海賊団とフーシャ村
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頼まぁ」
と言っても見聞色を使えば一発で山賊のアジトを発見できるのだが、まあ嬢ちゃんがわざわざ案内してくれるというのであればその好意を無碍にすることもあるまい。
「もしなんかで都合悪くなったりしたら、俺かうちのクルーにでもそう伝えてくれや。うちの船は強面なやつもいねえから声掛けやすいであろ」
大型船を使っている割にうちの船の乗組員は総勢四人である。俺、ロビン、エドックと、もう一人子供と言える年齢の少女がいるだけ。エドックはごくごく一般的な成人男性程度の体格で、顔立ちもそこら辺にいそうな感じ。ロビンは言わずもがな。最期の一人などまだ子供であるため、まあこれほど親しみやすいメンツの揃った海賊団もなかなかないであろ。
俺の見た目も、ちょっとカッコいいだけの普通の青年である。うむうむ。
この人数だと船を動かすのが少々大変だが、そこら辺はなんとかやっている。ロビンが体の各部位を好きな場所に生えさせるハナハナの実の能力者であるため、物理的に手が足りなくなることはないのだ。
「ふふ、それじゃあ明後日はよろしくお願いしますね」
「おう、道中の護衛は任せとけい。ああそれと、あとでうちのクルーたち連れて飯食いに来ると思うんでそんときゃよろしく」
「ええ、お待ちしてます」
ようし、話はまとまった。っつーわけで村ん中に散らばってるクルーたちを集めねばならん。村はそう大きくないので探すにも苦労はしないであろ。最悪見聞色を使えば一発で居場所が分かるため、なんにせよ問題はない。そもそもロビンは船の番をしているので、村の中で探すのは二人だけである。
そう考えながら酒場の出口へ向かおうとしたところで、しかし店主の嬢ちゃんが喉の奥に小骨が引っかかった時のような面持ちで問うてきた。
「ところで、あなたの顔にちょっと見覚えがあるんですが……どこかでお会いしました?」
「うん? あーまあ、気になるんなら新聞見りゃ分かると思うぜー」
最期にそんなやり取りをして俺は酒場を後にした。それから数分後酒場内から歳若い女子の悲鳴ともつかぬ仰天の声が上がるのだが、それは余談である。最弱の海に俺みてえな大物がいるとは夢にも思わなかったのであろ。わはははは。
でだ。
「船長」
「おう、どうした」
酒場を出ると、両手に食材入りの買い物袋を下げたうちの料理担当が深刻そうな表情で声をかけてきた。どうやら酒場の前で俺のことを待っていたらしい。探す手間が省けたのはありがたいのだが、はて、何か問題でも起こったのであろうか。
「この村には――――――――幼女が一人もいないみたいだ」
「さっさとくたばれやてめー」
一瞬でも村になにか異変があったのかと警戒した俺が馬鹿だった。こいつはアホであるからして、
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