第三話
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れておりそれ以外との格差が目に付く。
部屋の中にいたのはハーレイ一人だ。扉の音に気づいてハーレイがこちらに近寄ってくる。
「いらっしゃい。ロンスマイアさんもきたんだ」
「ええ。興味がありましたので。それとクラリーベルでいいですよ」
「そっか。期待に応えられれば良いけど」
ハーレイは部屋の中を見回すと近くの椅子を二つ引き寄せレイフォン達に勧める。
「もう一人関わっている奴がいてね。多分向かいの部屋にいると思うから呼んでくるよ。座って待ってて」
廊下を挟んだ反対側の部屋も同研究室の持ち部屋だという。出て行ったハーレイを見送りレイフォンは椅子に座る。
「思っていたより整頓されていないね。どこもこんな感じなのかな」
「そうですか? 普通の部屋だと思いますけど」
「クラリーベルはもう少し家事を頑張ろうか」
「レイフォンが几帳面すぎるんですよ。何処に何があるかわかれば十分ですって」
「孤児院だと整理整頓しないとすぐ物がなくなったからなあ」
呟きながらレイフォンは部屋の中を何となく見渡す。錬金科に行く予定はないが、それでもこのままツェルニに居て学年が上がればどこかの科に入らねばならない。目的を考えれば一般教養科に居続けるのが最善と言えるかもしれないが強制はない。
謹慎処分というに相応しい身。だがいずれそれは解ける。武芸者という戻る場所が決められている。
最終到着点が決まっているならばこそ、その過程としてどこの科へ行こうと変わりはしないだろう。なら、四年時からは自分の希望を決めなければならない。決めて、こういった研究室に入ることになるのだろう。
今すぐに、という話ではない。少なくともあと三年はある。
その空間にいるからだろう。ずっと先の話だが、何となく思考が跳ぶ。
「まあ、三年間もいるって保証はないけどさ」
少なくとも変な匂いのする部屋は嫌だな。壁に掛かったシミ付きの白衣を見ながらレイフォンはそう思う。
シュナイバルでよく行ったハーレイの家の設備室はキチンと整理整頓がされていたなと何となく思い出す。
ハーレイが呼んできたのは車椅子に座った男子生徒だった。肌は白く、うっすらとクマが見える姿は不健康さを醸し出していた。
ともすれば不機嫌そうに見える鋭い目つきがレイフォンたちを見る。
「キリク・セロンだ。レイフォン・アルセイフと……誰だ?」
「クラリーベル・ロンスマイアです。面白そうだと思って見が――」
「どうでもいいが、自分から来ておいて退屈だなどと後で騒ぎ出すなよ。迷惑だ」
吐き捨てるようにキリクが言う。口は悪い人物のようだ。隣のクラリーベルが一瞬口元を引きつらせたのをレイフォンは見逃さなかった。
「あはは、キリクは口が悪いんだ。ごめん
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