第三話
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てはグレンダンの事情にも通じている。聞けば小隊の隊長も勤めているとか。何かあれば手を貸してもらえるかもしれない。
ツェルニにおけるコネだなんだ、いざとなれば兄のことで脅せなどと言うクラリーベルにレイフォンは渋々と頷く。サヴァリスが突然変異なだけで、本当に普通の人なら有難い事だ。
「分かりました。それとクラリーベル、今日の放課後空いてる?」
「レイフォンと違って基本暇人ですよ。何ですかデートですか」
「研究の成果を見に来ないかってハーレイさんに呼ばれてるんだ。興味あるって言ってたよね」
「面白そうですし行きます。それと少しは反応して欲しいんですけどね」
ノリが軽すぎたのは理解しているが全くの無反応っぷりにクラリーベルは嘆息する。何となくの流れで言っただけなので反応があれば有ったで困っていたのもまた事実だが。
ストローを咥え濃縮果汁を無言で啜るクラリーベルを尻目にレイフォンはプリントを写していく。
精度の高い無駄に正確な動きで雑な字を高速量産しつつレイフォンが口を開く。
「暇なら何かする予定はないの? さっきの続きってわけじゃないけど、バイトとか。ほら、陛下から言われてるし」
「んー……厳密に言うと私は指定されてないんですよねそれ」
「そうなの?」
「ええ。常識を知るってだけですから対象は色々あったレイフォンだけなんですよ。私はまあ、ついでですね。それでも一応やろうとは思ってるんですが……強制でないなら面白そうなこと以外やる気が出なくて」
その言い方からして興味を惹かれるようなものが今のところ見つかっていないのだろう。
バイトにも色々と種類がある。飲食業から清掃業や配送業。そう言った俗にサービス業と言われるものから農作物の収穫や家畜の世話などといったものまで幅広い。
人と触れ合うか触れ合わないかでも大きく違うし職種によって求められるスキルも違う。金銭を稼ぐ、人脈を広げる、スキルを得る。求めるものによっても違ってくる。
金銭目的で昔いろいろと粗探しを繰り返し、色々と胡散臭い類の仕事も探せばあることをレイフォンは経験として知っている。まあ、だからといってそういったものを探して紹介しようとは思わないのだが。
特に切羽詰った理由や必要もないならゆっくり探せばいいとレイフォンは思う。何せモノによっては精神的にも影響が及ぶのだから。
「遠い目してますが大丈夫ですか。手が止まってますよ」
「ああ、うん。大丈夫。ちょっと昔を思い出していただけだから」
クラリーベルの胡乱な目がレイフォンを見る。
「まあ実際、自由に使えるお金が増えるってのは良いですよね。この間アイシャさんに奢って貰いましたけど」
「アイシャは古本屋だっけ、珍しいよね。僕のとこ月払いだけど隔週だって言うし」
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