第三話
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気をつけろ。まず平気だがな」
アイクは少し考えるように言葉を止める。
「アルフ、一つ頼みたいことがる。頼んでもいいか」
「アルセイフです。そう難しくなければいいですよ」
脱いだ上着の元にアイクが向かう。そして何かをレイフォンに向けて投げる。
財布だ。結構軽い。
「小隊戦の裏で賭けが行われてるの知ってるか」
「初耳です」
「非公式だがな。どっちが勝つか、誰が何人倒すか誰が生き残るか。そんな内容での賭けがある」
あっても不思議ではない。レイフォン自身、賭け試合に出ていた過去もある。無論、ここでのそれがグレンダンでのそれよりも大人しいものではあるだろうけれど。
グレンダンでのそれは武芸自体を見世物とし、ツェルニそれは試合の副産物として扱っている。話を聞く限りそういった違いはあるようだ。
「へー、楽しそうですね」
クラリーベルも不思議には思っていない。本来武芸者の倫理観からしたら外れているが、特にそこまで気にした様子もない。
「買えたらでいい。その中身で俺に一点賭けしといてくれ。小隊員というか、本人じゃ買えなくてな。確か新聞部の部員が一枚噛んでたはずだ」
「買えたらでいいんですよね。分かりました」
「助かる。個人的に買いたいなら隊長にでも乗っとけ。低倍率だろうが安全牌だ」
確かにレイフォンが買うならニーナだろう。本当に買ってみようかという気になる。
賭け方をレイフォンに言ったアイクは汗をぬぐい上着を羽織る。帰るのだろう。
「一回手合わせ願いたかったが隊長殿から止められててな。これで帰らせて貰う。賭けの件、頼んだぞ」
アイクを見送りレイフォンはどうするかクラリーベルと話し合う。
「賭けのこと引き受けちゃいましたけど良かったんですかね」
「普通にダメです。ここにいるのもそれが理由ですし。もう少し頭使ってください」
「やっぱりそうですか」
やっちゃったなあとレイフォンは眉を歪める。
そんな様子にため息を吐き、クラリーベルはレイフォンの手から財布を取る。
「けどまあ、程度ですかね。グレンダンと同じ扱いかは分かりませんし。一般生徒なら誰でも参加できる感じでしたら、まあ。そうだとしても買うのは私がやりますが」
「調べてみないとですね」
「ええ。ともかく私たちも帰りましょう。結構やりましたので」
クラリーベルが言う。あまり遅くまで起きていて次の日に支障をきたしても問題だ。
レイフォンは同意し二人もアパートへと戻っていった。
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