第三話
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けどね」
「まあまあ。それより感想はなしですか」
「何の?」
「触ったじゃないですか今」
「何を?」
「胸を」
言われて気づく。
「ああ、確かに。気づかなかった」
思えば当てた上で捻りもした。だが戦闘のさなか事だ意識してのことではない。
それに
「気づきませんか。そうですか」
「いやでも当てたの鳩尾でそんなつもりなかったし骨当たって硬かったから全然そんな……」
「硬くて悪かったな!!!」
叫び、クラリーベルが剣を振るう。それと同時にレイフォンは危険を感じ全力で後ろに飛ぶ。
瞬間、レイフォンがいたところに複数の燃え盛る剄弾が着弾した。飛んできた方向はクラリーベルのいる方向とは全く別。伏剄だ。
それを皮切りに至るところで剄の気配が湧き上がる。剄の刃として、炎として、目くらましの光弾として、足を奪う罠として、純粋な剄の塊として。一つ一つは小さい、けれど今日仕掛けたにしては明らかに過剰過ぎる数のそれがクラリーベルの意思に合わせレイフォンへと向かう。
「すみません、間違えました! 柔らかかったです凄かったです!!」
レイフォンはお世辞を言いまくる。だが攻撃はやまない。
「セクハラ死すべし。それと私は成長期ですから」
何言っても駄目だったのではないだろうか。
そう思いながらレイフォンは迫る剄の嵐とクラリーベルの刃から逃げ続けた。
猛攻を避け続け暫く経った。気づけば伏剄は無くなり最初と同じ剣での斬り合いが主体のそれに戻っていた。
ここに至るまででレイフォンは至るところすり傷や浅い切り傷だらけだ。最も、この程度の傷なら寝て起きれば治っているが。
攻撃をさんざしてクラリーベルは満足したのか、それとも怒っていたこと自体忘れたのかさっきまでの様子はない。
不利な姿勢での鍔迫り合いに負け、レイフォンは大きく後ろに飛んで下がる。
斬りかかってくるクラリーベルの一刀を受けるべく構えようとした瞬間、レイフォンは別の気配を感じた。レイフォンのものでもクラリーベルのものでもない第三者の者だ。
すぐさまレイフォンは殺剄を行い近くの建物の廃材の影に隠れる。クラリーベルも気づいたようで殺剄を行い隣に来る。
今更になって最初の空き地から随分と離れてしまったことに気づく。もうほぼ外縁部だ。
気づかれぬよう殺剄を維持したまま建物の影からレイフォンは向こうを覗く。一人の青年がいた。
それも、前に見たことがある。
「あの人って確か、十七小隊の」
「医務室にいた人ですよね」
同じように覗き込んでいたクラリーベルが耳元で呟く。こそばゆいそれをレイフォンは我慢し小さく頷く。
ニーナの部下の一人だ。何故こんなところにいるのかは不明だが、上半身は
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