第三話
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言えばいいのだ」
どう聞けばいいのだろう。
そしてどんな答えを貰えば自分は納得できるのだろう。
ガハルド・バレーンは強かったのか。
あの日、その手はお前に届くほどだったのか。
たったその二つを聞ける日が、自分には来るのだろうか。
夜遅く、アパートから暫し離れた場所にある開けた空き地にレイフォンとクラリーベルはいた。
同じ区域とはいえ区内でも端、縁外部近く。住宅などなくあるのは店の在庫を置く倉庫や使われなくなって久しい解体待ちのビルくらいだろう。もう少し外に向かえば直にレギオス外の荒野も見渡せるだろう。そんな場所と時間帯もあり人の気配などない。
空き地には時折金属音が響き渡り、時折散った火花が一瞬だけ周囲を照らす。
二人がしているのは組手だ。
女王からの命令の一つに戦闘技術の維持というものもある。基礎能力の維持というだけなら訓練器具を用いた室内でのことだけでもある程度事足りる。だが実戦の感というものもある。
武芸科に入れず、また十分に相手に足る存在という意味での最適解という結果が定期的なクラリーベルとの組手である。
人目を避けた結果としてのこの場所であり、発覚に繋がる大きな剄技を控えた模擬試合だ。
都市にいる武芸者に気づかれぬように、と剄量は制限している。また露骨に傷跡を残すわけにもいかないのでレイフォンは余り外力系衝剄変化を使わずに戦っている。
だが、クラリーベルは違う。歴とした化錬剄の使い手でもある。剄を様々な形状や性質に変化させる化錬剄は単純な威力だけはない。罠として接地面に仕掛けたり足を掬ったり視界を防ぐ発光体を生み出すことも出来る。戦闘の幅はレイフォンほど狭まりはしない。
土地や芝生とは違い有機プレートの地面はある程度の損傷ならば朝までには修復される。だが倉庫などの建造物に刻まれる傷跡はそのまま残り続ける。その点も気をつける必要がある。
本来総合的に見た技術はレイフォンが上だが、そういった点もありこの模擬試合は差などなかった。
距離を取られれば化錬剄による追い打ちが来る。剄を罠として潜ませる伏剄や本物さながらの気配を持った幻影だ。極力レイフォンは距離を取らず、近距離で攻め続ける。
特に怖いのは伏剄だ。これは熟練者が使えば一定時間保持することが出来るのだ。どの程度まで保たせられるのかレイフォンは知らないし教えて貰えないが少なくとも一日は出来るらしい。
前もって仕掛けておくなど卑怯だと正直思うが卑怯だからで咎められるものでもない。あくまで個人的意見でしかない。
前に一度、ひたすらに試合中ひたすら逃げ回ることしか出来なかった時もある。その時のクラリーベルは酷く楽しそうでその笑顔を見ているとレイフォンは文句を言う気も失
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