第三話
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は口を開かなかった。何かを思いつめるように眉根を寄せ、その言葉を発していいのか迷っていた。
「……いや、何でもない。長い事引き止めて悪かったな」
ゴルネオが何を聞こうとしていのか。気になったが、敢えて聞くものでもない。
「今度会う時はクラリーベル様も入れて三人でだな。飯はその時にでも奢ろう」
「楽しみにしています」
「行ったか」
玄関の鍵を閉めゴルネオはリビングに戻る。
レイフォン・アルセイフはゴルネオが思っていたのとは少し違った人物だった。あの兄に追いかけられ苦もなく生き残っている。兄の関係者だと、そう思っていたが実のところは自分の同類に近かったのだろう。
最もある面ではというだけで本質は違う。兄に失望の目を向けられた己と目にかなったレイフォン。才能という余りにも高い壁があることに違いはない。
台所に立ちシンクに沈めてあった洗い物を片付けていく。レイフォンが来る前、腹を好かせたシャンテに軽食を作っていた。かけられたソースもその時のものだ。
ひとり暮らしも長い。ゴルネオは慣れた手つきで洗い終わった食器を乾燥機へとかけていく。
一通り乾燥機に入れリビングに戻りソファに体を預ける。
「ゴル。色々大変だったんだな」
「何だ急に」
まるで可哀想なものを見るような視線をシャンテから向けられる。
気にするなとでも言うようにシャンテがゴルネオの肩に手を置く。
「ゴルはあいつに何か聞きたいことがあったんじゃないのか?」
「……まあな。だが、聞く勇気が出なかった」
「前に来た手紙に関係してるんだろ? 聞けばよかったのに」
「そう簡単なことじゃないんだ」
シャンテが首をかしげる。直情的な彼女は思えばすぐに行動に移す。悩むなんてことほとんどしないのだろう。
「ゴルがそう言うならいいんだけどさ。けど結構悩んでたし、ゴルが元気無いの嫌だ。あいつが原因なら……」
「無関係ではないが、レイフォンは原因じゃない。おれ個人の悩みだ、どうにもならん。それにお前じゃ無理だ」
動物的過ぎて深く考えず行動しようとする事があるのがシャンテの欠点でもある。悩んでいるなら大本を物理的に排除すればいい、何て思っていたのだろう。
「強いって聞いたけど寝込みでも襲えば」
「兄の……天剣授受者の相手をできる何て奴は逆立ちしても勝てんさ。あれは人の形をした化物だ。それよりお前もさっさと帰れ。腹は膨れただろ」
「う〜」
不満げなシャンテを送り出す。
誰もいなくなった部屋の中、ゴルネオはソフォに全身を預け天井を見上げる。
思うのは先程のこと。レイフォンに問いかけようとした疑問。ずっと前に届いた、恩人からの一通の手紙。
「……一体、何と
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