第三話
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ことの大事さを知ったこと。ツェルニに来て正直嬉しかったこと。
傍から見れば情けなかっただろう。二人の男が一人の男への愚痴を吐く。
惨めで、男気などなく女々しく、情けなくて。
けれど確かな友情がそこにはあった。疲れた笑顔には溌剌としたものがあった。
「……」
哀れなものを見るようなシャンテの視線など気づかず二人は話し続けた。
「まだ早いがもう少ししたら外に食べにでも行くか。奢ろう」
「いえ、一旦事務所に戻らないといけませんので」
「そういえばそうだったな。また今度にしよう」
「是非。楽しみにしてます」
既に結構な時間話し込んでしまっていた。もうそろそろ帰らないといけないだろう。
「そういえば今更だが、今度会う時は何を話すつもりだったんだ?」
「ああ、それ忘れてました」
本来そっちのほうが主目的のはずだがすっかり忘れていた。レイフォンは改めて自分がこの街に来た理由を話す。勿論、賭け試合や脅迫のことなどはぼかして。
完全に隠さないのは賭け試合のことはいずれ知られてしまうから。ゴルネオもグレンダンの人間なのだから。
「謹慎か。一般常識を学ぶ、というのは確かに大事だ。特に……特に、力のあるものは常識が大事だ」
「はい。そうだと思います」
「何故武芸科の制服ではないのだと思っていたが、理解がいった」
ゴルネオからすればそれは確かに疑問だっただろう。
「問題を起こしたことは弁護することも許容も出来ない。歴とした悪だ。だが、更生する行い自体を否定する理由にはならん」
最も、一番正さねばいけない人間が野放しな気もするが。
そうゴルネオは呟く。
「何より女王命令ならば従わない理由などない。女王がそういうのならばそうなのだろう」
グレンダンの者としてそれは共通認識。女王とはそういう存在だ。
「クラリーベルからも話はあると思いますが、何かあった際は力を貸してくれると嬉しいです」
「露骨な贔屓などは無理だ。小隊長としての立場を利用することもだ。だが、あくまで個人として可能な範囲なら相談は受けよう」
小隊の長といえばそれなりの発言力などもある。それを思っての発言だろう。
堅気な性格だ。真面目というべきだろう。兄弟でこうも差が出るとは不思議なものだ。
最もレイフォンとしてはそれで十分でもクラリーベルが納得するかは分からないが。
「それで十分助かります。そろそろ帰りますね」
荷物を取り玄関に向かう。少し長居しすぎた様だ。僅かだが空は来た時よりも暗くなっていた。
靴を履くレイフォンの背に声がかかる。
「レイフォン、最後に一ついいだろうか。聞きたいことがある」
「はい、何でしょうか」
振り返った先のゴルネオは、すぐに
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