第三話
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武芸を辛いと思ったことはない。幸いにも才能があったのも理由の一つで、それをする上で技術的な困難は無いに等しかった。
だが一般の人たちは才のあるなしに関わらずこんな事をしていたのだ。素晴らしいことではないか。
武芸者としての才能もあって頭もいいクラリーベルのことはまあ、何かの間違いだろうとレイフォンは思いたかった。
「クラリーベルは家でも予習とか復習してるの?」
「特に何も。実家である程度まで教えられてまして……まあ、正直言って一、二年生のうちくらいは授業寝てても平気なんですよ私」
それに教科書読めばだいたいわかりますよね。ほくそ笑んで楽しげに言うクラリーベルはやはり別世界の住人だと再確認する。
気にするだけ無駄だとレイフォンは思考を切り替える。何かあったらクラリーベルに頼ればいいという事だ。
「あ、そう言えば内職やってたよねルシル。良かったら見せて」
「いいぞ。と言ってもオレも他から借りたのを写しただけだけどな」
来週提出の小プリントを受け取り軽く答えに目を通す。横からクラリーベルがそれを覗き込んでくる。
「……何て書いてあるんですかこれ」
「何って、答えだが」
「ちょっと読みづらいけど普通に読めるよ」
確かに雑な字だが、レイフォン自身字が丁寧とは言えないので慣れたものだ。自分しか見ない前提のノートの中身などこれよりも一層酷い惨状である。付き合いの長さ故かそんなレイフォンの字でもある程度は解読可能なクラリーベルだがルシルの字は読めなかったらしい。
渋い顔をして食事を再開したクラリーベルも、最初はレイフォンの普段の字を別言語と言っていたのだ。いずれこの字も読めるようになるだろう。
「期限までに返してくれればいいぞ」
「すぐに写すよ」
「そうか。そう言えば二人共部活見て回ったんだろ、何か入ったのか? バイトとかもさ」
「部活はまだ考え中。クラリーベルはいくつか興味持ってたけど……何だっけ」
「オカ研とか面白そうでしたね」
「ああ、そっち系の……」
胡散臭いが、そういうのがクラリーベルは好みらしい。胡散臭いか、やたらと黒い色で悦に入るようなそんな方面にクラリーベルが興味あるのだとレイフォンはそこで初めて知った。
部を回っていて漆黒とか真紅とかそういう単語に良く反応していた。
「暇なら後でいくつか一緒に回ろう。オレも見たい所あるし」
「いいよ。まだ見終わってないし。バイトは今のところ配達だけかな僕は」
「郵便? 出前? 足はあるのか」
「郵便で手紙がメインだけど、他にも色々してるみたい。バイク貸してくれるし、免許は費用出してくれたから。地理覚えるのが大変だけど」
対人関係のバイトは同僚や上司によって(心の)難易度が激変する。それを知っているレイフォン
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