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戦国異伝
第百五十五話 加賀入りその十

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「ではよいな」
「わかりました」
「では」
 こうしてだった、織田軍は。
 一気呵成に攻めた、山からその下にいる敵軍を攻める。それは一向宗の軍勢の横腹を見事に貫く形だった。
 ようやく気付いた門徒達だったが遅かった、まずは派手に食い破られ。
 そしてだった、信長は自ら剣を抜いて皆に命じた。
「よいか、このままじゃ!」
「攻めまするか!」
「このまま!」
「うむ、五郎左の軍勢にも命じよ」
 誘い出した彼等もだというのだ。
「ここはじゃ」
「反転して、ですな」
「攻めよ」
「うむ、そう伝えよ」
 今ここでだというのだ。
「ではよいな」
「はい、では今より伝えてきます」
 堀尾が言って来た。
「今より」
「まずは後ろの敵を囲みそして倒す」
 そしてだというのだ。
「次に前じゃ、ここでも各個にじゃ」
「攻めてですな」
「そのうえで」
「そうじゃ、そうして倒す」
「では後ろの軍勢を倒す間前の軍勢は」
 彼等はどうするか、それを問うたのは竹中だった。
「どうされますか」
「権六に命じよ、後ろの軍勢を攻める間はそなたが前の軍勢の相手をせよとな
「そうしてですか」
「そうじゃ、あ奴に攻めさせてじゃ」
 そのうえでだった。
「五郎左も攻める、これで前の軍勢は暫くは動けぬ」
「そして前の軍勢が動けぬ間に」
「後ろの軍勢を」
「倒す」
「では」
「この軍勢を倒せばすぐに動くぞ」
 このことも言う信長だった、そうして。
 まずは後ろの軍勢を囲む、それから四方八方から攻めてだった。
 そして彼等を倒す、次は。
 前だった、だが彼等は既に柴田と丹羽の軍勢の攻撃を受けてかなり弱っていた。しかし信長はそのことに安心しなかった。
 彼等も囲みそうしてだった。 
 ここでも四方八方から攻める、そうして彼等を殲滅してだった。
 北東の軍勢を倒した、戦場に残る門徒達はいなかった。
 しかし信長はここで勝ち鬨を挙げさせなかった、すぐに全軍にこう命じた。
「ではよいな」
「はい、すぐにですな」
「北の軍勢に向かいますか」
「そうじゃ、北の軍勢の動きはどうなっておる」
 信長はここで滝川に問うた。
「あの者達は」
「まだ我等の動きに気付いておらぬとのことです」
 滝川は今届いた報をそのまま信長に報じた。
「そのまま我等が元いた場に向かっています」
「ふむ、ではじゃ」
 そう聞いてだ、すぐにだった。
 信長は全軍にだ、こう言った。
「では敵の後ろを衝くぞ」
「北の軍勢のですか」
「そこをですか」
「そうじゃ、攻めるのはそこじゃ」
 こう言うのだった。
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