第一話 赤い転校生その十九
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智和は薊にだ、穏やかな微笑みで最後に告げた。
「ではまた」
「ああ、またな」
薊はその智和に確かな微笑みで応えた、二人のそれぞれの微笑みだった。
智和は最後の挨拶の後で二年B組を後にした、そして。
一人になった薊にだ、クラスメイトの女の子達勿論裕香も彼女のところに駆け寄る様にして来て言って来た。
「ちょっと、天極先輩からお友達になって欲しいって」
「凄いじゃない、それって」
「何かいきなり注目されてるけれど」
「あんた一体何したの?」
「部活で何かしたの?」
「何もしてないよ、別にな」
薊はクラスメイト達にこう答えた、特に何でもないといった顔で。
「少なくともあの人と知り合いになる様なことはさ」
「そうなの?それでなの」
「天極先輩が来られたの」
「そうなの」
「そうだよ、どうしてかね」
自分でもわからないといった顔で言うのだった。
「あたしあの人に今はじめて会ったしさ」
「見られていたとか?」
ここでこう言ったのは裕香だった、考える顔での言葉だった。
「部活を」
「それ?ストーカーじゃないよな」
「あの人そういうことはしないと思うけれど」
「だよな、紳士だよな」
「ええ、頭がいいだけじゃなくてそういうことでも評判の人だから」
礼儀正しさでもだ、智和は評判がいいというのだ。
「そうしたことはされないわ」
「だよな、年下のあたしにも最初は敬語だったしな」
「ストーカーとかする様な方じゃないから」
このことは強く言う裕香だった。
「安心してね」
「だよな、それじゃあ何であたしのこと知ってるんだ?」
「そのことがわからないのね」
「あたし昨日この学校に転校してきたばかりだよ」
腕を組み考える顔になってだ、薊は自分からこのことを言った。
「三年の人の間に有名になるってな」
「考えられないわよね」
「昨日授業に出て」
「体育は凄かったけれどね」
「部活に出てな」
そこでも素晴らしい能力を見せたがまさかそれが智和の耳にまで入るとは考えられなかった、昨日の今日でだ。
「あの人のダチで拳法部の人がいるとかか?」
「それはあると思うけれど」
「それかね。それであの人あたしのこと知ってるのかな」
「そうじゃないからしら」
「だろうな、そうとしか考えられないよな」
「けれどね」
裕香はここまで話してだった、薊にこう言った。
「いいことよ、天極先輩とお友達になれることって」
「そんなに凄い人なんだな」
「そうなの、高等部の特進科でも首席で八条大学医学部からわざわざスカウトが来ていて」
「おいおい、受験もまだなのにかよ」
「試験は絶対に通る能力があるからって」
入学はもう既定路線としての話だというのだ。
「そういう方針で話が進んでるのよ」
「じゃ
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