TURN135 ワープトラブルその十二
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そこから太平洋への野心を露わにさせていた、それでエイリスは日本との同盟を選び日本もそれに応えたのだ。
しかしだ、その同盟は。
「ガメリカと中帝国の思惑に気付くべきだったよ」
「私達の同盟を破棄させれば」
どうなるか、二人はその頃を思い出して話していく。
「両国の目の上のたん瘤がなくなります」
「連中はその頃から太平洋経済圏を考えてたんだよ」
「一次大戦の後で」
「まあ御前もそっちに入ったけれどな」
「ですが両国が仕切るのではなく」
日本が盟主だ、この辺りは両国の計算が狂ったのだ。
「太平洋は合議になっています」
「連中は何でも仕切りたがるけれどな」
「そこはかなり違ってきています」
「太平洋でもな」
「はい、違っています」
「まあどっちにしてもこっちはな」
エイリスにしてみれば、イギリスは強張った顔で言った。
「植民地がなくなって国力激減だよ」
「そのことについては」
「まあな、植民地もな」
どうかとだ、イギリスも既にわかっていた。
「貴族連中が搾取して利権を貪ってな」
「イギリスさんにしても頭の痛い問題だったのですね」
「俺だって植民地の連中をいじめたりするのはな」
本意ではなかったのだ、彼にしても。
「叛乱鎮圧の艦隊の派遣や駐留、配備も大変だったからな」
「予算が」
「そうだよ、かなりな」
こう言うのだった。
「植民地からの収入なんて殆どなくなってたんだよ」
「そうだったのですね」
「ああ、本当にな」
「ではイギリスさんは」
「俺はもう植民地は全部放棄すべきだって考えてるんだよ」
この考えに至ったというのだ。
「本当にな」
「そうですか」
「ああ、植民地の人達を虐げて貴族の連中だけがいい目を見てな」
そしてさらに。
「軍を展開させて碌に実入りもなくなってるからな」
「だからですか」
「もうエイリス本土だけでいいだろ」
その所有している星域は、というのだ。
「後は貿易主体でやっていくさ」
「それでは世界の盟主の座は」
「ああ、それももうな」
イギリスはティーセットのスコーンを食べながら言う、上段にそれがあり中段はエクレア、そして下段にはケーキとフルーツだ。今回は中段にはサンドイッチではなくエクレアを置いていることが普段とは違う点だ。
そのエクレアも見つつだ、イギリスは日本に話す。
「いいさ」
「エイリスの誇りでしたが」
「誇りはあるさ」
既にだというのだ。
「俺達の中にな」
「誇りそのものが」
「だからいいんだよ、もうな」
こう日本に話すイギリスだった。
「世界の盟主とかもな」
「では世界の盟主は」
「もう誰もいないだろ」
エイリスも他の国もだというのだ。
「というかいらないだろ」
「どの国もならない」
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