TURN135 ワープトラブルその六
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「これはな」
「どうしますか、ここは」
「ワープで逃げるか?」
ロンドンまでだ、そうしようかというのだ。
「ここはな」
「ワープですか」
「ああ、そうするか?」
イギリスはこうセーラに提案した。
「ロンドンまでな」
「そうですね、このまま撤退しても」
「追いつかれるぜ」
イギリスは後方から迫る枢軸軍をモニターで観ながら話す。
「そうしたら捕虜にされるからな」
「捕虜、ですか」
「そうなれば向こうは最高の外交カードを手に入れるだろ」
セーラとイギリス、国家元首であり国家そのものだ。
その彼等が捕虜になる、それは即ち。
「エイリスに一方的な講和を要求してきてこっちも受け入れざるを得ないだろ」
「そしてそうなれば」
「王室の権威は暴落だよ」
それと反比例して。
「帰属の力が上がってな」
「それではエイリスは」
「負けてそれだ、最悪だろ」
「はい、それでは」
「ここは捕まる訳にはいかないんだよ」
絶対に、というのだ。
「だからいいな」
「わかりました、ワープですね」
「何とかな」
それでロンドンまで撤退する、こう話してだった。
セーラとイギリスはワープに入る、だがその時に。
東郷と日本の乗艦が来た、それも全速力で。日本は東郷に対して言う。
「ここは、ですね」
「ああ、どうやらエイリス軍のあの二隻はエンジンに損傷を受けたらしい」
「長官、あの二隻ですが」
秋山も東郷に話す。
「クイーン=エリザベス、それにエイリス帝国です」
「セーラ女王とイギリスさんですね」
「はい」
秋山は日本に対しても答える。
「間違いありません」
「そうですね、それでは」
「ここで捕虜に出来れば」
秋山もわかっていた、このことは。
「ですからここは是非」
「接舷してからは任せるのだ」
山下も大和にいる、手にしている刀の柄に手をやりながら。
「私があの女王を捕虜にしてみせる」
「それは利古里ちゃんに頼めるかな」
「私は二度目に剣を交えた相手に敗れたことも引き分けたこともない」
そのどれもだというのだ。
「だからだ」
「やってくれるか」
「うむ、そしてあちらの祖国殿もだな」
「捕虜にするつもりだ」
東郷はイギリスについても答えた。
「二人を捕虜に出来れば大きい」
「それで我々の勝利は確定だな」
「間違いなくな」
「ではまずは接舷してくれ」
山下はあらためて東郷に告げる。
「後は陸軍に任せろ」
「そうさせてもらうな」
こう話してそしてだった。
大和と日本帝国は全速力でクイーン=エリザベスとエイリス帝国に迫る、イギリスもそれを見てセーラに言う。
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