第三章
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タビタおばさんはトムのことを言うのでした。
「うちのトムなんてね」
「トムちゃんどうしたの?」
「何時でも泥んこになるのよ」
「服を汚してなの」
「もうお洗濯が大変よ」
タビタおばさんは右の前足を上から下に振ってビリーおばさんにこのことを言います。
「毎日だから」
「トムちゃんも腕白なのね」
「男の子って手がかかるわね」
「そうよね、うちの子もね」
ビリーおばさんも言うのでした。
「手間がかかって」
「男の子はね」
「女の子はまだましだけれど」
「そうそう」
タビタおばさんは下の子供達のこともここで言います。
「あの娘達はまだね」
「けれどよね」
「そう、やっぱり子供はね」
「手がかかるわね」
「かといって主人も」
「うちの主人もよ」
今度は旦那さん達のお話です、その人達はどうかといいますと。
「家事は何もしないのよ」
「うちのもよ」
タビタおばさんは自分のところもだと言うのでした。
「もうお家に帰ったらね」
「寝てばかりよね」
「お風呂に入ってね」
そうしてだというのです。
「寝るだけよ」
「そうそう、雄猫は気楽でいいわね」
「釣りか狩りをしてね」
「それで終わりよ」
「お魚なり小鳥なり鼠を捕まえて」
「それでね」
終わりだというのです、雄猫は。
ビリーおばさんはです、ご自分のご主人についてこんなこともあるというのでした。
「うちの主人ってお酒を飲んだらね」
「どうなるの?暴れたりするの?」
「それはないの。ただね」
「ただって?」
「もうすぐに寝て」
「暴れないならいいじゃない」
「それが違うのよ、物凄いいびきなのよ」
お酒を飲んで寝るとです、ビリーおばさんのご主人はそれこそ雷の様ないびきを立てて寝てしまうというのです。
「五月蝿くて仕方ないのよ」
「それは大変ね」
「タビタちゃんのところのご主人もお酒好きでしょ」
「よく飲むわよ。けれどね」
「いびきはかかないの?」
「暴れたりもしないわ」
そうしたこともないというのです、ですが。
大変なことはいびきや暴れることだけではありません、タビタおばさんのご主人はお酒を飲むとどうなるかといいますと。
「もうね、朝までね」
「起きないのね」
「そうなのよ、朝になってもお酒を飲んだ次の日は」
「中々起きないのね」
「何をしてもね」
それこそです、耳元で何を言ってもだというのです。
「耳元でフライパンをおたまでガンガンと鳴らしてね」
「それでやっとなのね」
「起きるのよ」
そこまでしないと起きないというのです。
「本当にやっとなのよ」
「凄いのね、そっちも」
「もうね、お酒ってね」
「雄猫は皆好きだけれどね」
「一旦飲むとね」
それでだというのです。
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