咎の炎と罪なる星空
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「は?」
ティアが眉を顰める。
ジェラールは不気味な笑みではなく、どこか優しげな笑みを浮かべて続けた。
「『ナツ』と『ティア』という希望をな」
その言葉に、ゼロの表情から笑みが消えた。
「何!?」
「ア?」
「希望・・・ですって?私とコイツが?」
ゼロが目を見開き、ナツはジェラールを睨み、ティアは水の剣を突き付けたまま小首を傾げる。
「炎の滅竜魔導士。その魔力は炎の力で増幅する」
(炎の・・・力で・・・)
ジェラールが放った炎は、ナツの体で燃えている。
上半身に纏う炎を、ナツは見つめた。
「そして“星竜の巫女”、膨大な魔力を得た時、星の竜殺しの力を得る」
「・・・」
ジェラールの言葉が何を意味するか解っているのだろう。
ティアは鋭い目つきのまま睨みつける。
「貴様・・・記憶が完全に戻ってないな」
「言った通り『ナツ』と『ティア』を思い出しただけだ。ニルヴァーナは止める!立ち位置は変わらんぞ、ゼロ」
2人の間で繰り広げられる会話。
が、ナツとティアにとっては意味の解らない言葉が飛び交う。
「何言ってるの?アンタがニルヴァーナを止めるって・・・利用するの間違いじゃないの?」
「何だよ・・・記憶って・・・」
2人はジェラールの事情を知らない。
だからこそ殴りかかって剣を向けている。
「オレはこの地で目覚める以前の記憶がない」
この地で目覚める以前の記憶がない。
それを聞いた2人は目を見開く。
つまり、自分達の事を覚えていないのだ。
「最低のクズだった事は解ったが、自覚がないんだ。どうやら君達やエルザをひどくキズつけたらしい・・・だが今はウェンディ達のギルドを守りたい。ニルヴァーナを止めたい。君達の力になりたいんだ」
それはジェラールの本音だった。
亡霊に魅入られる前のジェラールはこうだったのだろう。
だが―――――――
「ふざけんなァッ!!!!!」
敵であるジェラールしか知らない2人にとっては、言い訳にしか聞こえない。
ナツがジェラールを思い切り殴りつけ、叫んだ。
「あの事を忘れたっていうのか!?何味方のフリしてんだテメェ!」
「記憶喪失なんて理由で私達が納得出来るとでも思ったの!?アンタと戦った私達が!」
ティアも感情が爆発する。
ぐいっとジェラールの胸倉を掴んだ。
「頼む・・・ナツ・・・ティア・・・今は炎と力を受け取ってくれ」
自分より背が低く華奢な少女に胸倉を掴まれるジェラールが呟く。
が、かつて敵対した人間を、エルザを傷つけた人間をそう簡単には許せない。
ティアの場合はシモンを殺した事にあるのだが。
「オレは忘
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