第十二話 目覚めの一端
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の攻撃に吸い込まれるように当たる。
バン!
敵は空気の塊ごと吹っ飛んでいき、動かなくなった。
はぁ、はぁはぁ・・・
どうだ、術も使えないガキだと油断していただろう?
下忍でもないアカデミーの生徒だが、みんなで勉強や修行はきちんとやっている。
なんとか、二人。
二人は倒した。後の二人は俺たちから少し離れたところにいる。もう一人を攻撃している間に距離を取られたのだろう。
「イナリ、大丈夫?!」
「イナリ!」
ハナとカタナが心配そうに話しかけてくれた。
大丈夫、二人は死なせない。絶対に。
そう思いながら、もう一度身構え直す。
はぁ、はぁはぁ・・・
それにしてもいつもより半端なく疲れる。
術は一度しか使っていない。
チャクラだってそんなに使ってないはずなのに。
!?
急に、僕は足下から崩れ落ちた。足に力が入らない。
それだけじゃない、体全体がとてつもなく重い。
なんだ?どうしたんだ?
体が動かない!
・・・ヤバい、ヤバい!
はぁ、はぁはぁ・・・
身構えて遠くにいた敵が近づいてくる。
くそ!せっかく救えると思った。この力が何なのかわからないけど、この力で“大切な人”を死なせないで済むと思った。
なのに!なのに、ここまで来て体が動かない。
・・・二人を助けられない。
頬に熱いものを感じた。視界が歪んで、周りが見えなくなる。どんどん目から熱いものが溢れてくる、止まらない。
悔しい、悔しい!
もう二度とあんな思いはしたくなかった。苦しくて、悲しくて、心を引き裂かれるような思いを・・・。
それだけじゃない、皆には、この二人にはあんな思いをして欲しくない。アカデミーにいた時のように、ずっと笑っていて欲しかった。ずっと、幸せでいて欲しかった。
くそ、くそくそ、くそ!
ハナも泣いている。
カタナも悔しそうな顔をしている。
敵はもうすぐそこまで迫っていた。
ーその時だ。
白い光と黄色い光が僕たちの横を駆け抜けた。
それは一瞬で・・・そうだと気づくのに少し時間が掛かったほど一瞬で・・・駆け抜けていった。
その光が駆け抜けたと意識出来たときには、眼前にいた敵さえも地面に伏していた。
ん? なにがあった?
敵は・・・倒れているし、あれ?
あまりにも一瞬の出来事で理解が全く追いつかない。
疑問で頭がいっぱいだった、その時に声を掛けられた。
「大丈夫かい?三人とも。」
僕たちの目の前には、黄色くてツンツン尖った髪、中性的な感じを思わせる顔立ちで、優しそうな笑顔を向けてくれている人がいた。
「ふう、何とか間に合った。よかった・・本当に。」
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